塑性加工とは?金属加工の現場で行われる塑性加工の種類まとめ
- 更新日:
- 2022/08/31 (公開日: 2020/06/07 ) 著者: 甲斐 智
塑性加工(そせいかこう)は、金属に大きな力を加えて、目的のカタチに変形させる金属加工です。
「除去加工」「鋳造(ちゅうぞう)」「冶金(やきん)」とあわせて、代表的な金属加工法のひとつに数えられます。
この記事では、実際に金属加工の現場で行われている「塑性加工」のさまざまな加工方法や、避けて通ることのできない「加工硬化」現象について解説しています。
塑性加工ってどんな加工?
塑性加工(そせいかこう)は、金属に大きな力を加えて、目的のカタチに変形させる金属加工です。
鍛造(たんぞう)や曲げ加工・せん断加工などは、すべて「塑性加工」に分類されます。
なかでも金型を使った「プレス加工」は、大量生産に欠かせない加工方法で、プレス成形の約70%は、自動車部品として使われています。
塑性加工:引用元: Wikipedia「塑性加工」
塑性加工(そせいかこう、Plastic working または Deformation processing)とは、物質の塑性を利用し、材料に大きな力を加えて変形させることによって、目的とする形状に加工することである。
一般に他の加工方法より加工時間が短く、材料のロスが少なくエネルギー原単位が比較的少なく、巨大なものにも適応可能であることから工業製品の生産等に広く用いられる。
加工に大きな力が必要になりますが、 除去加工にくらべ材料のムダがなく加工スピードが速い ため、大量生産に向いています。
加工方法にあわせて、「プレス機械」や「鍛造機械」などさまざまな機械が使われます。
- 塑性:金属に一定以上の力を加えて変形させると、もとにもどらない性質
- 弾性:金属に一定の力を加えても、もとにもどる性質
塑性加工では、この金属の「塑性」の特性を利用して、金属を変形させます。
金属加工の現場で行われている塑性加工の種類
塑性加工にはプレス加工をはじめ、「曲げ」や「絞り」などさまざまなが方法があります。
ここでは、金属加工の現場で行われている「塑性加工」の一部を紹介します。
塑性加工は、素材から加工材料をつくる「一次加工」と、材料から完成品をつくる「二次加工」に分けられます。
塑性加工の一次加工
連続鋳造でつくられた金属のかたまりから、加工に適した「板材」「棒材」「管材」「ブロック材」などの加工材料をつくります。
加工された材料は、プレス加工・切削加工の材料や建材として広く使われます。
「鍛造」について解説
「圧延」について解説
「引抜き加工」について解説
「押出し加工」について解説
塑性加工の二次加工(プレス加工)
一次加工でつくられた加工材料をもとに、金型・パンチ・ローラーなどの工具を押し付けて、製品をかたちづくります。
さまざまな加工法がありますが、総称して「プレス加工」とよばれています。
「プレス加工」について解説
「せん断加工」について解説
「曲げ加工」について解説
「絞り加工」について解説
「張出し成形」について解説
「スピニング加工」について解説
「フォーミング」について解説
塑性加工の「加工硬化」現象と、「焼きなまし」とは?
金属は塑性加工(曲げたり叩いたり)をつづけると、次第に硬くなり、もろく割れやすい状態になります。
(針金を何度も曲げていると、ポキッと折れてしまうのとおなじ現象です)
この現象を「加工硬化」とよびます。
加工硬化の原因は金属組織の「ひずみ」で、その回復には「焼きなまし」とよばれる熱処理が必要になります。
焼きなましをすることで硬化した金属が回復し、硬くて強い金属にもどります。
この現象を「再結晶」とよび、塑性加工ではとても重要な工程となります。
塑性加工とは?まとめ
この記事では、金属加工の現場で行われている「塑性加工」の種類を通して、塑性加工の全体像についてい解説しました。
製品のカタチや精度にあわせて、「塑性加工」と「除去加工」をうまく組み合わせることが、生産性向上のカギとなります。
本記事が、日ごろの機械設計のヒントになればうれしいです。