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鋳造とは|鋳造(ちゅうぞう)のさまざまな技法をかんたん解説

鋳造とは|鋳造(ちゅうぞう)のさまざまな技法をかんたん解説

公開日:
2020/06/06(2020/10/19 更新)by 甲斐 智
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| 鋳造 |

鋳造(ちゅうぞう)は、金属加工のなかでももっとも歴史のある基礎的な加工技術です。

つくりたいカタチの鋳型(金型)に溶けた金属を流し込み、冷やして固めることで、 複雑な製品を効率よく量産
塑性(そせい)加工除去加工とならぶ代表的な金属加工法ですが、切削加工エンジニアにとってはなじみの薄い分野でもあります。

この記事では「鋳造」の種類と特徴を、基本的な鋳造法や用語をまじえて解説します。

鋳造ってどんな加工?

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|鋳造(ちゅうぞう)は、純度の高い金属原料を熱で溶かし、型に流し入れ「冷やし固める」加工方法です

鋳造(ちゅうぞう)は、純度の高い金属原料を熱で溶かし、型に流し入れ「冷やし固める」加工方法です。

鋳造の歴史は古く紀元前4000年ごろから行われ、日本でも弥生時代の銅鐸や、東大寺の大仏などに鋳造の技術が使われています。

鋳造:
材料加工法の一つで金属および合金を溶融状態で鋳型に注入し,凝固,冷却後鋳型より取出して製品とする.
鋳造により得られたものを鋳物という.鋳造の歴史は古く古墳の出土品にも鋳物が存在する.
最初は,開放型,次に合せ型,さらに中子を有する鋳造法が発達したと考えられている.
引用元:日本機械学会「鋳造」
金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|現代では自動車のシリンダーブロックや機械部品の製造技術として、さまざまな業界で活用されていま

現代では自動車のシリンダーブロックや機械部品の製造技術として、さまざまな業界で活用されています。

(鋳造でつくられた金属は振動の吸収率が高く、工作機械のテーブルやプレス機械のフレームにも活用されています)

鋳造工程はふたつに分けられ、目的によって規模や設備がおおきくかわります

鋳造で「鋳塊(インゴット) = 金属素材」をつくる

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|金属の原料から、鋳塊(ちゅうかい)とよばれる金属素材をつくります

金属の原料から、鋳塊(ちゅうかい)とよばれる金属素材をつくります。
鋳塊は「インゴット」ともよばれ、あらゆる金属製品のもとになる金属のかたまりです。

鋳塊は圧延され、塑性加工除去加工をへて、製品になります。

鋳造で「鋳物 = 金属製品」をつくる

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|金属の原料から、鋳物(いもの)とよばれる製品を鋳造します

金属の原料から、鋳物(いもの)とよばれる製品を鋳造します。
鋳物はそのまま製品として利用されますが、最終仕上げで加工されることもあります。

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|鋳造で「鋳物 = 金属製品」をつくる

鋳物はおおきな製品や複雑なカタチでも低いコストで量産でき、大量生産にはかかせません。
金属をたたいて強くする鍛錬工程がないため、強度はやや落ちます。

そのデメリットを補うため、さまざまな鋳造方法が開発されています。

鋳造の現場でよく使われる用語

鋳造では、切削加工の現場では聞きなれない用語が使われます。

<鋳造の専門用語>

鋳塊(ちゅうかい) 鋳造でつくられた金属素材、インゴット
鋳物(いもの) 鋳造でつくられた金属製品
湯(ゆ)
溶湯(ようとう)
溶けた金属、溶融金属
溶鋼(ようこう) 溶けた鋼
鋳込み(いこみ) 金属を注ぎ込むこと
鋳型(いがた) 砂や金属で作った型
凝固 溶融金属を冷やし固めること
砂型 砂でつくった型
金型 金属でつくった型
巣(す) 鋳物の中にできたちいさな気孔
ひけ巣 鋳物の中にできた、おおきな空洞(加工不良)
ブローホール 鋳物の中にできた、ガスによるおおきな空洞(加工不良)
ピンホール 鋳物の中にできた、ガスによるちいさな空洞(加工不良)
介在物 鋳物の中に巻き込んだ、異材の混入(加工不良)
湯境(ゆざかい) 溶湯と溶湯の温度差などで発生する境目(加工不良)
模型 鋳型の原型となる型(木型、金属模型、石膏型、プラスチック型、ポリスチロール型)
中子(なかご) 中空の鋳物をつくるため、内部に入れる鋳型
鋳鉄(ちゅうてつ) 鉄で作った鋳物
鋳鋼(ちゅうこう) 鋼で作った鋳物
青銅 銅で作った鋳物
アルミ鋳鉄 アルミで作った鋳物
湯口(ゆぐち) 溶湯を注ぎ込む口
湯道(ゆみち) 溶湯が注ぎ込まれる通路
押湯(おしゆ) 凝固時の金属収縮でできたスキマに、不足溶湯を注ぎ込むこと

鋳造で知る!鋳鉄の約60%は自動車部品

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|鋳造で知る!鋳鉄の約60%は自動車部品

鋳鉄の生産量の約60%は、「自動車部品」へと加工されます。

また低コストで大量生産に向いているため、デジカメや家電など民生品の部品加工にも多く使われています。

自動車部品での鋳造例

  • エンジンのシリンダブロック
  • エンジンのシリンダヘッド
  • エンジンブラケット
  • クランクシャフト
  • カムシャフト
  • ブレーキキャリパ
  • アルミホイール

鋳造の種類について

鋳造には、用途にあわせてさまざまな技法があります。

  • 連続鋳造:金属「素材」の成形
  • 砂型鋳造:金属「製品」の成形(砂でできた鋳型を使用)
  • 金型鋳造:金属「製品」の成形(金属でできた鋳型を使用)

連続鋳造

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|連続鋳造
金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|連続鋳造

溶けた鋼から、金属材料になる「鋼片」をつくる技法です。

鋳型に注入した鋼を鋳型の底から引き出し、圧延して帯状の鋼片を製造。
鋼片は、カタチによって「棒材用のビレット」「形鋼用のブルーム」「板材用のスラブ」に分けられます。

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|棒材用のビレット
工場に積まれた「ビレット」

ビレットはさらに塑性加工により、棒材・線材・形材・管材とよばれる半製品に加工され、自動車部品や機械部品の材料になります。

砂型鋳造

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|砂型鋳造
金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|砂型鋳造

砂型鋳造は、砂を固めた「砂型」とよばれる鋳型を使って鋳物をつくる技法です。

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|砂型鋳造

砂型鋳造のメリット

鋳型が低コストでつくれ、コストが削減できる
鋳型に柔軟性があり、カタチの自由度が高い

砂型鋳造のデメリット

× 砂型を壊して鋳物を取り出すため、大量生産に向いていない
× 溶湯の凝固速度がおそいため、鋳物の強度が落ちる
金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|砂型鋳造

砂型鋳造は用途にあわせてさまざまな技法があります。
機械エンジニアが現場でみかける代表的な鋳造法を、かんたんにご紹介します。

《生砂型鋳造法》

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|生砂型鋳造法

水と粘土を混ぜた鋳物砂で鋳型をつくり、乾燥させずに溶融金属を注入する鋳造法です。
工期がみじかく低コストで、部品の試作や多品種少量生産に使われます。

《ロストワックス法》

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|ロストワックス法

ワックス(ろう)でつくった模型を砂で固め、ワックスを溶かし出し鋳型にする鋳造法です。

古くからある伝統的な鋳造方法ですが、精度が高く複雑なカタチの鋳物が可能。
工程が多いためコストがかかりますが、インペラやタービンなど航空機部品の鋳造にも使われます。

「インベストモールド法」ともよばれます。

《乾燥型鋳造法》

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|乾燥型鋳造法

水と粘土を混ぜた鋳物砂で鋳型をつくり、焼成乾燥させる鋳造法です。
生砂型鋳造法とくらべ、鋳物の強度が高いのが特徴です。

《シェルモード法》

加熱した金属模型に「RCS(熱硬化性樹脂)」をかけ固化させ、鋳型をつくる鋳造法です。
鋳型のガス抜けがよいため、巣のないキレイな鋳肌になります。

肉薄の金属や、精度の高い自動車エンジン部品などの精密鋳造に使われます。

《ガス硬化型鋳造法》

水ガラス(ケイ酸ナトリウム)でつくった鋳型を、炭酸ガスで硬化させる鋳造法です。
鋳型が強固で鋳型のバラシがむずかしいですが、精度の高い鋳物が得られます。

《フルモールド法》

発泡スチロールでつくった模型を砂に埋め込み、溶解金属を注入する鋳造法です。
溶解金属の熱で発泡スチロールを消失(気化)させることで、バリが少なく、複雑なカタチの鋳物が得られます。

「消失模型鋳型鋳造法」ともよばれ、自動車部品をはじめさまざまな分野で使われます。

《Vプロセス法》

模型に特殊フィルムを重ね、真空状態の砂型内に鋳型をつくる鋳造法です。
ガスの発生が少なく、巣のないキレイな鋳肌になります。
鋳砂は回収して再利用できますが、成形できるカタチには限界があり、
「減圧造型鋳造法」ともよばれます。

《石膏鋳造法》

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|石膏鋳造法

石膏で鋳型をつくり、溶融金属を注入する鋳造法です。
鋳型の製作がしやすく、低コストで精度の高い鋳物ができます。

多品種小ロットの部品製作や、ダイカストの試作品の製作としても使われます。

金型鋳造

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|金型鋳造
金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|金型鋳造

金型鋳造は、耐熱合金鋼でつくられた「金型」を使い鋳物をつくる技法です。

金型鋳造のメリット

鋳型(金型)が繰り返し使えるため、大量生産ができる
溶湯の凝固速度が速いため、機械的性質に優れる
寸法精度が高く、鋳肌のキレイな鋳物ができる

金型鋳造のデメリット

× 切削加工で金型をつくるため、製作コストがかかる
× 金型の加工に限界があるため、カタチの自由度が低い
金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|金型鋳造

金型鋳造は用途にあわせてさまざまな技法があります。
自動車部品や精密機器など、精度がもとめられる精密部品の鋳造に使われています。

《ダイカスト鋳造法》

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|ダイカスト鋳造法
金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|ダイカスト鋳造法

アルミや亜鉛などの溶融金属を、金型に高速・高圧で注入する鋳造法です。
溶融金属を高速で圧入するため、巣や充填不足が起きやすいですが、鋳肌がキレイで肉薄の鋳物ができます。

金属加工と鋳造(ちゅうぞう)について|ダイカスト鋳造法

生産性が高く、ダイカストマシンによる大量生産が可能。
自動車部品をはじめ民生品や建築材料など、さまざまな業界で使われています。

ダイカスト鋳造による鋳物は、「ダイカスト」「ダイキャスト」とよばれます。

《金型重力鋳造法》

重力(金属の自重)を利用して、金型に溶融金属を注入する鋳造法です。
溶湯の凝固スピードがはやく、鋳物の強度に優れます。

《低圧鋳造法》

圧縮空気で加圧して、金型に溶融金属を注入する鋳造法です。
低速・低圧で鋳造するため、ガスによる空洞やひけ巣が少なく歩留まりがよいのが特徴です。

凝固スピードがおそいため、サイクルタムは長くなります。

《高圧鋳造法》

アルミなどの溶融金属を金型に低速で注入し、高圧で凝固させる鋳造法です。
低速で注入するため、巣や充填不足が起こりにくいのが特徴です。

ダイカストとくらべ空気やガスの巻き込みが少ないため、熱処理による強度の高い鋳物がつくれます。

《遠心鋳造法》

回転による遠心力を利用して、中空円筒状の鋳物をつくる鋳造法です。
鋳型を高速で回転させることで、中子を使わず低コストで筒状鋳物をつくることができます。

水道管や配水管などの鋳鉄管の鋳造に使われています。

鋳造とは?まとめ

この記事では「鋳造」の種類と特徴を、基本的な鋳造法や用語をまじえて解説しました。

切削加工の現場では、なかなか触れることの少ない金属鋳造ですが、本記事が鋳造技術を知るきっかけとなればうれしいです。

この記事(鋳造)の編集者

甲 斐 智(KAI Satoshi)

甲 斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
14年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる

・株式会社モノト 代表
・株式会社アプト Webディレクター
・一般社団法人日本機械学会 特別員
・東京商工会議所

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