スピニング加工とは？スピニング加工の特徴とヘラ絞りとの違い

　 　 　

スピニング加工は、板材を回転させながら、工具をあてる塑性加工法です。

板材をマンドレル（金型）にすこしずつ押し付け、底つきのカップ状に成形。
プレス加工にくらべ小さな力で加工することができます。

割型（バラせる金型）を使うことで、口が狭い「つぼ状」の成形もできます。
（回転成形のため、箱型や異形の成形はむずかしくなります）

新幹線や宇宙ロケットの先端など、 高精度・大型製品の小ロット生産 に適しています。

スピニング加工（ヘラ絞り）ってどんな加工？

スピニング加工は、工具の種類とあてかたの違いでふたつに分けられます。　

• スピニング加工：NC制御で「ローラー」を押しあてて成形
• へら絞り：作業者が「へら」を押しあてて成形

人力によるスピニング加工（へら絞り）では，へら棒を介して作業者に伝わる力の感覚が特に重要な役割を果たす．
一方でＮＣスピニングマシンでは，加工ローラはサーボ機構により位置制御されており，力の感覚は持たない．

引用元：力制御を用いたスピニング加工

スピニング加工

回転する板材に、自動で「ローラー」を押しあてる加工方法です。
ローラーはNCによって制御されるため、成形が安定します。

板厚が変わらない「絞りスピニング」と、板厚を薄くして面積を増やす「しごきスピニング」があります。
厚板やステンレス合金などの難加工材は、加熱（熱間スピニング）しながら加工します。

加工には「NCスピニングマシン」（スピニング加工機）が使われます。

へら絞り

回転する板材に、手動で「へら」を押しあてる加工方法です。
熟練作業者の経験と、へらから伝わる感触によって圧力を加減します。

NCではむずかしい加工条件がバラつく素材や、ミクロン単位の高精度加工に使われます。

また「スピンドルマシン」では対応できない大型製品の加工も可能。
H2Aロケットの先端などの特注製品にも使われ、職人技を代表する技法になっています。

加工には「絞り旋盤」や、治具を工夫した「汎用旋盤」が使われます。

絞り加工との違い

スピニング加工とよく似た加工に、「絞り加工」があります。
成形品が似ているため混同されやすいですが、それぞれに特徴があります。

絞り加工は、1枚の板材から「容器状の製品」を成形するプレス加工です。
スピニング加工より大きな圧力が必要になりますが、加工スピードがはやくなります。

NCスピニングマシン

NCスピニングマシンは、「スピニング加工」で使われるプレス機械です。

NC旋盤とおなじ構造で、主軸にマンドレル（金型）を取り付け先端に板材を固定。
複数のローラーを使い分けながら、さまざまなカタチに高速で加工します。

加工後の切断やロボットによるワークの着脱など、自動化が進んでいます。
楕円や多角形などが成形できる、ロボット式スピニングマシンの開発も行われています。

スピニング加工とは？まとめ

この記事では、スピニング加工やへら絞りについて解説しました。

へら絞りは金属のダイナミックな変化がわかりやすく、テレビなどでも町工場の技術としてよく紹介されています。
そこには、熟練技術者の経験やカンがかかせません。

スピニング加工やヘラ絞りとの違いを知ることで、プレス加工の選定の参考になればうれしいです。