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NCフライス盤とは|「NCフライス盤」の種類とマシセンとのちがいを解説

NCフライス盤とは|「NCフライス盤」の種類とマシセンとのちがいを解説

公開日:
2020/05/17(2020/09/28 更新)by 甲斐 智
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| 切削 | 工作機械 | 除去加工 |

NCフライス盤は、金属加工で使われる「NC工作機械」のひとつです。

フライスエンドミルとよばれるツールを回転させ、テーブルに固定した加工ワークを前後左右に動かしながら、金属を切削。
機械部品や金型など、複雑なカタチの部品加工 に使われます。

この記事では、切削加工の現場でよく見かける「NCフライス盤」について、マシニングセンタとのちがいから機械の種類まで、かんたん解説しています。

NCフライス盤ってどんな機械?

NCフライス盤は、切削加工で使われる「NC工作機械」です。

NC制御による自動加工で、 作業者による品質のバラつきがなくなり、安定した加工 が実現。
汎用フライス盤のハンドル操作ではむずかしい複雑なカタチも、高い精度で加工することができます。

英語では、〔CNC Milling Machine〕と表記されます。

フライスの語源は?
工作機械とNCフライス盤について|フライスの語源は?
「フライス」の語源は、フランス語の「Fraise ひだ襟(えり)」といわれています。
フライス工具のみためが、貴族の衣装の波打った襟(えり)に似ていることから名づけられました。
(※諸説あります)

NCフライス盤とマシニングセンタのちがい

工作機械とNCフライス盤について|NCフライス盤とマシニングセンタのちがい

NCフライス盤には、マシニングセンタにかかせない「ATC(自動工具交換装置)」がついていません。※
そのためツールを交換しながら加工する多工程には、マシニングセンタが適しています。

NCフライス盤はマシニングセンタよりコストが低く、主軸に剛性があるため重切削に向いています。

加工内容や予算にあわせた使い分けが重要です。

※一部の機種には、ATCを搭載した「ATC付 NCフライス盤」もあります

NCフライス盤でできる加工

NCフライス盤では、フライス工具を手動で交換しながら加工を行います。
NCで 3軸(X/Y/Z)を制御することで、側面や溝の加工もできます。

フライス加工だけでなく、穴あけ加工中ぐり加工リーマタップ加工にも使われます。

フライス加工
工具を回転させて削る除去加工法
「フライス加工」について、かんたん解説
穴あけ、リーマ、タップ加工
穴あけやネジ切りで使われる除去加工法
「穴あけ、リーマ、タップ加工」について、かんたん解説
中ぐり加工
穴をおおきく広げる除去加工法
「中ぐり加工」について、かんたん解説

NCフライス盤の種類

NCフライス盤は、機械の構造や加工の目的によって分けられます。

ここでは、切削加工の現場で使われている代表的なNCフライス盤を紹介します。

NC立てフライス盤

工作機械とNCフライス盤について|NC立てフライス盤

NC立てフライス盤は、主軸(刃物の回転軸)が縦向きになった、NCフライス盤です。

加工ワーク(切削される金属)の上からツールをあて、切削加工します。
金属の表面や、四角い金属の加工に向いています。

テーブルの移動方式によって、ふたつの種類があります。

ベッド形 NC立てフライス盤
工作機械とNCフライス盤について|ベッド形 NC立てフライス盤

主軸が上下(Z)に動き、テーブルが前後左右(X/Y)に移動します。
おおきな部品の加工や、プラスチック金型などの重切削に向きます。

ニー形 NC立てフライス盤
工作機械とNCフライス盤について|ニー形 NC立てフライス盤

テーブルが前後左右上下(X/Y/Z)に移動します。
構造がシンプルなため、小型の部品加工に向いています。

ひざ形ともよばれ、汎用フライス盤でも多く採用されている方式です。

NC横フライス盤

工作機械とNCフライス盤について|NC横フライス盤

NC横フライス盤は、主軸(刃物の回転軸)が横向きになった、NCフライス盤です。

加工ワーク(切削される金属)の側面からツールをあて、切削加工します。

工作機械とNCフライス盤について|NC横フライス盤

溝加工では「側フライス」を使い、ワークの上からツールをあてます。
フライスは、アーバ(支え棒)と オーバアーム(支柱)によって支えられています。

テーブルの移動方式によって、ふたつの種類があります。

ベッド形 NC横フライス盤
工作機械とNCフライス盤について|ベッド形 NC横フライス盤

主軸が上下(Z)に動き、テーブルが前後左右(X/Y)に移動します。
おおきな部品の加工や、プラスチック金型などの重切削に向きます。

ニー形 NC横フライス盤
工作機械とNCフライス盤について|ニー形 NC横フライス盤

テーブルが前後左右上下(X/Y/Z)に移動します。
構造がシンプルなため、小型の部品加工に向いています。

ひざ形ともよばれ、汎用フライス盤でも多く採用されている方式です。

NC万能フライス盤

工作機械とNCフライス盤について|NC万能フライス盤

NC万能フライス盤は、ユニバーサルヘッドとよばれる「交換式の旋回工具」を搭載した、NCフライス盤です。

工作機械とNCフライス盤について|NC万能フライス盤

ツールを自由に旋回することができるため、円や自由曲線などの複雑な加工ができます。

5面加工機」としても使われています。

NCプラノミラー

工作機械とNCフライス盤について|NCプラノミラー

NCプラノミラーは、長いテーブルを搭載した、大型のNCフライス盤です。主軸が上下左右(Z/Y)に動き、テーブルが前後(X)に移動します。

おおきなディーゼルエンジンの部品加工や、長い金属の加工に適しています。

工作機械とNCフライス盤について|NCプラノミラー

ユニバーサルヘッド(交換式の旋回工具)を取り付けることで、さまざまな加工にも対応。
5面加工機」としても使われています。

主軸を支える構造によって、ふたつの種類があります。

NC門形プラノミラー
工作機械とNCフライス盤について|NC門形プラノミラー

主軸を支える構造が「門」のカタチになっています。

NC片持ち形プラノミラー
工作機械とNCフライス盤について|NC片持ち形プラノミラー

主軸を支える構造が「片手持ち」になっています。

門形にくらべて不安定になりますが、横幅のおおきなワークの加工ができます。

ATC付NCフライス盤

工作機械とNCフライス盤について|ATC付NCフライス盤

ATC付NCフライス盤は、ATC(自動工具交換装置)を搭載した、NCフライス盤です。

NCフライス盤の操作性と、マシニングセンタの自動運転を活かした中間的な機種で、マシニングセンタとほぼおなじ構成です。

マシニングセンタにくらべ、低いコストで高い剛性が得られるのが魅力です。

NC多軸フライス盤(マルチスピンドルフライス盤)

工作機械とNCフライス盤について|NC多軸フライス盤(マルチスピンドルフライス盤)

NC多軸フライス盤は、ツールの主軸を多数備えたフライス盤です。
1サイクルで複数のワークを同時加工することができ、生産性が飛躍的に上がります。

スマートフォン部品などの小型ワークの加工ラインで活躍しています。

小型フライス盤

工作機械とNCフライス盤について|小型フライス盤

NC彫刻機

NC彫刻機は、マーキングや模様の彫刻などに使われる、小型のNCフライス盤です。

レーザー加工による彫刻とくらべ、低いコストで導入できますが、大量生産には向いていません。

卓上CNCフライス盤

卓上CNCフライス盤は、小物の加工で使われる、小型のNCフライス盤です。

ちいさな部品の試作や、3Dプリンタで出力した樹脂の追加工など、試作・開発・研究用途で使われています。

NC倣いフライス盤

NC倣い(ならい)フライス盤は、「倣い加工」専用のNCフライス盤です。
木型・石膏模型や実物を、「スタイラス」でトレースしNCデータを生成、そのデータをもとに加工をします。

精度の高いNCの普及によって活躍の場は減っていますが、金型の試作などで使われることがあります。

NCフライス盤で使われる治具について

工作機械とNCフライス盤について|NCフライス盤で使われる治具について

NCフライス盤のワークの固定には、治具(ジグ)が使われます。

治具」は、加工中のワークが動かないように、テーブルにしっかりと固定するための取り付け工具です。

治具:
治具は英語のjigの当て字です。
工作物を固定し、作業を効率的に行うための装置の事を指します。
溶接、機械加工、メッキなどあらゆる作業の際に使われる固定装置はすべて冶具と呼ばれます。
引用元: 愛知県中小企業団体中央会「治具・ゲージ」

加工に適した治具を使うことで、ワークの精密な位置決めや平行出しが実現。
作業者による段取り(ワーク交換)時のバラツキがなくなり、作業効率もあがります。

NCフライス盤では、マシンバイス・クランプ・イケールなど、さまざまな「治具」が使われています。

NCフライス盤とは?まとめ

この記事では、金属加工の現場でよく見かける「NCフライス盤」について、マシニングセンタとのちがいや機械の種類を解説しました。

NCフライス盤は、マシニングセンタにくらべて自動化に弱く需要が減っていまが、 最近ではATC(工具自動交換装置)を搭載した「マシニングセンタ風のフライス盤」や、周辺機器と組み合わせた「自動化ライン用のフライス盤」など、さまざまな工夫がされた機種も登場しています。

本記事が、NCフライス盤を知る「はじめのいっぽ」となればうれしいです。

この記事(NCフライス盤)の編集者

甲 斐 智(KAI Satoshi)

甲 斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
14年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる

・株式会社モノト 代表
・株式会社アプト Webディレクター
・一般社団法人日本機械学会 特別員
・東京商工会議所

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