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中ぐり加工とは|「NC中ぐり盤」とボーリングバーをかんたん解説

中ぐり加工とは|「NC中ぐり盤」とボーリングバーをかんたん解説

公開日:
2020/05/18(2020/09/28 更新)by 甲斐 智
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| 切削 | 工作機械 | 除去加工 |

中ぐり(なかぐり)加工は、ドリルなどであけた下穴を、さらにくり抜いて広げる「除去加工」のひとつ。

ボーリング加工ともよばれ、ドリルの直径よりもおおきな「穴あけ加工」や、鋳造・鍛造であけられた荒い穴の「仕上げ加工」など、 精度の高い穴あけ加工 で使われます。

この記事では、中ぐり加工で使われるボーリグバーや、「NC中ぐり盤」について、かんたんに紹介します。

中ぐり加工ってどんな加工?

工作機械と中ぐり加工について|中ぐり(なかぐり)加工は、ドリルなどであけた下穴をさらにくり抜いて広げる加工方法です

中ぐり(なかぐり)加工は、ドリルなどであけた下穴をさらにくり抜いて広げる加工方法です。
中ぐり加工では「ボーリグバー」とよばれる中ぐりバイトを使い、穴の内面を削ります。

中ぐりバイト:
中ぐりバイトは,内面を削るのに使用する。
例えば,ドリルでは加工できないような大きい穴,あるいは精度が必要できれいな加工面が必要な穴の加工などである。
引用元:機械加工の基礎知識「中ぐりバイトを使う」

穴の直径や精度によって、ボーリグバーを交換しながら、徐々に仕上げていきます。

工作機械と中ぐり加工について|中ぐり加工ってどんな加工?
工作機械と中ぐり加工について|中ぐり加工ってどんな加工?

加工中は、穴の内部に切粉がたまりやすいため、切粉の確実な排出がかかせません。

深穴の中ぐりや薄肉の中ぐりでは、工具が振動によってびびり(共振)やすいため、加工の難易度があがります。

工作機械と中ぐり加工について|中ぐり加工には、専用の「NC中ぐり盤」や、さまざまなNC工作機械が使われます

中ぐり加工には、専用の「NC中ぐり盤」や、さまざまなNC工作機械が使われます。

中ぐり加工で使われるNC中ぐり盤について

工作機械と中ぐり加工について|NC中ぐり盤は、「中ぐり加工」で使われるNC工作機械です

NC中ぐり盤は、「中ぐり加工」で使われるNC工作機械です。
主軸に取り付けたボーリグバーを回転させながら、穴の内面を削ります。

「クイル」とよばれる、NC中ぐり盤独自の繰出し主軸を搭載し、ボーリグバーを長く突き出しながら削ることで、深い穴の中ぐりができます。

工作機械と中ぐり加工について|主軸に取り付けたボーリグバーを回転させながら、穴の内面を削る

工具を交換することで、フライス加工穴あけ加工リーマタップ加工もできます。

英語では、〔CNC Boring Machine〕と表記されます。

NC中ぐり盤の種類

工作機械と中ぐり加工について|
横中ぐり盤
引用元:Shibaura Machine CO., LTD

NC中ぐり盤は、主軸の構造や、加工の目的によって分けられます。

NC中ぐり盤の多くは、汎用性の高い「マシニングセンタ」に置き換わっていますが、ミクロン代の精度を必要とする専用加工の分野では、「精密中ぐり盤」や「ジグ中ぐり盤」などの高精度機械が活躍しています。

NC横中ぐり盤

NC横中ぐり盤は、主軸(刃物の回転軸)が横に向いたNC中ぐり盤です。
NC中ぐり盤を代表する機種です。

立形にくらべ切粉を外に排出しやすいため、おおきな穴や深い穴の加工が実現。
小物~中物の加工に向いています。

フライス加工と兼用で使われる機械は、「NC横中ぐりフライス盤」ともよばれています。

NC立中ぐり盤

NC立中ぐり盤は、主軸(刃物の回転軸)が縦に向いたNC中ぐり盤です。
門形の大型機械が多く加工テーブルが広いため、おおきな金属の加工に向いています。

ユニバーサルヘッド(交換式の旋回工具)による5面加工もできます。

NC精密中ぐり盤

NC精密中ぐり盤は、穴の内面の鏡面仕上げに使われるNC中ぐり盤です。

超硬ダイヤモンドバイトを使い、ミクロン代の精度で高速切削。
エンジン部品や軸受けなど、高い精度が必要とされる内径の仕上げに使われています。

主軸の向きによって「横形」「立形」があり、おおきな金属の加工では、加工ワークが安定してツールがたわみにくい「立形」がよく使われます。

NCジグ中ぐり盤

NCジグ中ぐり盤は、ミクロン代の精密加工で使われる、高精度NC中ぐり盤です。
金型や機械部品の「精密中ぐり加工」で使われます。

もともとは、高い精度がもとめられるジグ(治具)の穴あけ専用機として開発されましたが、NCの進化により汎用的に使われるようになりました。
そのため「ジグボーラー」ともよばれます。

光学センサによる精密位置決で、芯だしや主軸の位置決めをミクロン代の精度で行います。
(室温や発熱による熱変異、機械設置時の平衡出しに注意が必要です)

また振動による精度低下を避けるために、通常の機械加工場とは別のスペースに設置されます。

主軸の向きによって、「横形」「立形」があります。

中ぐり加工で使われる、そのほかの工作機械

工作機械と中ぐり加工について|中ぐり加工で使われる、そのほかの工作機械

一般的なNC工作機械でも、中ぐり加工用のツールを使うことで、簡易的な中ぐり加工ができます。

NC旋盤
中ぐり加工で使われる「NC旋盤」について、かんたん解説
(チャックでつかめないワークや、重たいワークには向いていません)

中ぐり加工と中ぐり盤とは?まとめ

この記事では、中ぐり加工で使われるツールや、「NC中ぐり盤」を通して、中ぐり加工について解説しました。

中ぐり加工は、エンジン部品の穴加工に広く使われていて、車の高い燃費性能を発揮するためには、精密な中ぐり加工がかかせません。

本記事が、中ぐり加工を知る「はじめのいっぽ」となればうれしいです。

この記事(中ぐり加工)の編集者

甲 斐 智(KAI Satoshi)

甲 斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
14年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる

・株式会社モノト 代表
・株式会社アプト Webディレクター
・一般社団法人日本機械学会 特別員
・東京商工会議所

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