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NCボール盤とは|「NCボール盤」の種類とタッピングセンターをくわしく解説

NCボール盤とは|「NCボール盤」の種類とタッピングセンターをくわしく解説

公開日:
2020/05/17(2020/09/28 更新)by 甲斐 智
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| 切削 | 工作機械 | 除去加工 |

NCボール盤は、穴あけ加工で使われる「NC工作機械」のひとつ。

主軸に取りつけた回転ドリルを上下に動かしながら、加工ワークに穴をあけます

タップによる「ねじ立て」や、リーマによる「穴の仕上げ加工」にも使われます。

この記事では、量産加工の6割を占めるといわれる「穴あけ加工」を効率的に行うNCボール盤をはじめ、スマホの加工機械として世界中で活躍している「タッピングセンター」についても解説しています。

NCボール盤ってどんな機械?

NCボール盤は、穴あけ加工で使われる「NC工作機械」です。

NC制御による自動加工で、作業者による加工のバラつきがなくなり、安定した加工が実現。
シンプルな構造でコストも低いため、穴あけ専用の工作機械として、広く使われています。

ボール盤:
ドリル工具を回転させて穴あけ加工を行う機械で、リーマ仕上げ、ねじ立てなどの加工も行うことができます。
引用元: 工作機械の種類と加工方法「ボール盤」

多機能化により、マシニングセンタ風に進化した「タッピングセンター」や、深穴専用の「ガンドリルマシン」なども登場。

量産加工の6割を占めるといわれる「穴あけ加工」 を高速・高精度に行うため、多種多様に進化しています。

英語では、〔CNC Drilling Machine〕と表記されます。

ボール盤の語源は?
ボール盤の語源は、オランダ語の「Boor-bank(ドリルの台)」が変化したものといわれています。
(※諸説あります)

NCボール盤でできる加工

NCボール盤では、穴あけ加工だけでなく、リーマタップ加工や、中ぐり加工などもできます。
ひとつの穴あけにさまざまなドリルを使い分けることもあります。

穴あけ、リーマ、タップ加工
穴あけやネジ切りで使われる除去加工法
「穴あけ、リーマ、タップ加工」について、かんたん解説
中ぐり加工
穴をおおきく広げる除去加工法
「中ぐり加工」について、かんたん解説

NCボール盤の種類

NCボール盤は、加工の目的によって分けられます。

NC直立形ボール盤

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|NC直立形ボール盤

汎用ボール盤にNCを搭載した、標準的なNCボール盤です。
シンプルで使いやすい機械ですが、大量生産には向いていません。

タッピングセンター(ドリリングセンタ)

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|タッピングセンター(ドリリングセンタ)

タッピングセンターは、マシニングセンタなみの機能をもった、多機能NCボール盤です。
ドリリングセンタともよばれ、NCボール盤とマシニングセンタの中間の機種です。

もともとは、複数のドリルを搭載した「穴あけ加工専用機」として誕生。

その後、高速・高精度化や、周辺機器の進化によって、小型のマシニングセンタ(主軸30番 BT30など)として使われるようになりました。

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|タッピングセンター(ドリリングセンタ)

タレット式のATC(工具交換装置)を搭載しており、マシニングセンタにくらべ低コストです。

穴あけ加工だけでなく、フライス加工にも対応可能。
IT機器の金型加工や、スマホの筐体加工用として、世界で広く使われています。

なかでもファナック社の黄色い「ロボドリル」は、タッピングセンターの代名詞にもなっています。

マシニングセンタでも使用されるさまざまな周辺機器が使われます

NCタレット式ボール盤

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|NCタレット式ボール盤

NCボール盤にタレット(旋回式の刃物台)を搭載したNCボール盤です。
タレットを使いさまざまなドリルを順番に交換しながら、連続加工をします。

1台の機械で、加工から仕上げまで完結できます。

NCラジアルボール盤

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|NCラジアルボール盤

NCラジアルボール盤は、主軸に「旋回アーム」を搭載した、大型のNCボール盤です。
旋回アームにより、ドリルを任意の位置に動かすことができます。

加工ワークを動かさずに「多点」の穴あけができるため、おおきな部品の穴あけ加工に最適。

近年では「マシニングセンタ」にとって代わられたため、需要は減っています。

NC深穴ボール盤(ガンドリルマシン)

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|NC深穴ボール盤(ガンドリルマシン)

NC深穴ボール盤は、深い穴の加工で使われるNCボール盤です。

銃身のような「深穴」をあけるため、ガンドリルマシンともよばれます。
ガンドリルとよばれるドリルを使い、穴径の10~50倍以上の深さの穴をあけることができます。

自動車クランクシャフトなどの部品加工で使われています。

NC多軸ボール盤

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|NC多軸ボール盤

NC多軸ボール盤は、複数の主軸を搭載したNCボール盤です。
数十本のドリルを使って、さまざまな穴を同時にあけます。

それぞれの工程のために専用設計された「専用機」として、自動車部品やプリント基板などの大量生産に使われています。

NC卓上ボール盤

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|NC卓上ボール盤

NC卓上ボール盤は、作業台の上に据えつけて使われる小型のNCボール盤です。
Φ13mm以下のドリルを使った、ちいさな部品の加工に向いています。

機械部品の修理や、追加工などにも使われます。

NCボール盤で使われる治具について

工作機械とNCボール盤とタッピングセンターについて|NCボール盤で使われる治具について

NCボール盤のワークの固定には、治具(ジグ)が使われます。

治具」は、加工中のワークが動かないように、テーブルにしっかりと固定するための取り付け工具です。

治具:
治具は英語のjigの当て字です。
工作物を固定し、作業を効率的に行うための装置の事を指します。
溶接、機械加工、メッキなどあらゆる作業の際に使われる固定装置はすべて冶具と呼ばれます。
引用元: 愛知県中小企業団体中央会「治具・ゲージ」

加工に適した治具を使うことで、ワークの位置決めや平行出しが、高い精度で行えます。

作業者による段取り(ワーク交換)時のバラツキがなくなり、作業効率も向上。
NCボール盤では、マシンバイス・クランプ・イケールなど、さまざまな「治具」が使われています。

NCボール盤とは?まとめ

この記事では、量産加工の6割を占めるといわれる「穴あけ加工」を効率的に行うNCボール盤について解説しました。

NCボール盤は独自に進化し、「タッピングセンター」として世界中で愛用されています。
小型のマシニングセンタとしても使うことができ、コストも低い(約800万円~)ため、はじめてNC工作機械を導入される現場にもおすすめです。

本記事が、NC工作機械導入のきっかけとなればうれしいです。

この記事(NCボール盤)の編集者

甲 斐 智(KAI Satoshi)

甲 斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
14年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる

・株式会社モノト 代表
・株式会社アプト Webディレクター
・一般社団法人日本機械学会 特別員
・東京商工会議所

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