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ターニングセンタとは?ターニングセンタ特徴と工程集約ニーズ

ターニングセンタとは?ターニングセンタ特徴と工程集約ニーズ

更新日:
2024/01/10 (公開日: 2020/05/18 ) 著者: 甲斐 智
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切削工作機械旋削除去加工
     

ターニングセンタは「NC旋盤」をベースに、「マシニングセンタ」の機能を融合させた、NC工作機械のひとつです。

複合加工機ともよばれ、 2~3台の工作機械で行う複数の加工を1台に集約 することができます。

この記事では、工程集約や効率化のニーズに応えるため急速に進化している「ターニングセンタ」について紹介しています。

ターニングセンタについて|ワークの複雑化や納期短縮にともない、工程集約ニーズが高まっています!
ワークの複雑化や納期短縮にともない、工程集約ニーズが高まっています!

ターニングセンタってどんな機械?

ターニングセンタは「NC旋盤」をベースに、「マシニングセンタ」の機能を融合させた、NC工作機械です。

ターニングセンタ:
旋盤を複合化したNC工作機械です。
NC旋盤の機能をより高め、多くの工具を備え、旋削加工の他に工具を自動で交換できる回転工具主軸を持ち、フライス削り、穴あけ等の加工も行うことができます。
引用元:日本工作機械工業会「ターニングセンタ」
ターニングセンタについて|ターニングセンタってどんな機械?

タレット(旋回式の刃物台)に、フライスエンドミルドリルなどの回転工具を装備。
1回のチャッキングで、旋削加工からフライス加工まで効率よく行うことができます。

ターニングセンタについて|ターニングセンタってどんな機械?
ターニングセンタについて|ターニングセンタってどんな機械?

英語では、〔CNC Turning Center〕と表記されます。

ターニングセンタのメリット

ターニングセンタは、1回の段取り(ワークの取り付け)で、さまざまな加工ができるため、さまざまなメリットがあります。

ターニングセンタで、加工精度が向上

ターニングセンタについて|ターニングセンタで、加工精度が向上

加工ワークのつかみ直しによる位置ズレがないので、加工精度が低下しません。
段取りにかかるサイクルタイムが減るため、生産性が大きく向上します。

ターニングセンタについて|ターニングセンタで、加工精度が向上

2台のチャックを搭載した対向主軸タイプでは、2個のワークの同時加工や、加工ワークの持ち替えによる「背面加工」ができます。

ターニングセンタで、完全自動化が実現

ターニングセンタについて|ターニングセンタで、完全自動化が実現

バーフィーダー(自動棒材供給装置)や、産業用ロボットによる「自動ワーク交換」を活用することで、長時間の自動無人運転ができます。

ターニングセンタでできる加工

ターニングセンタについて|ターニングセンタでできる加工

ターニングセンタでは旋削加工からフライス加工まで、1台の機械でさまざまな加工ができます。

またユニバーサルヘッド(交換式の旋回工具)を搭載することで、複雑な5軸加工にも対応できます。

旋削加工
ワークを回転させて削る除去加工法
「旋削加工」について解説
フライス加工
工具を回転させて削る除去加工法
「フライス加工」について解説
穴あけ、リーマ、タップ加工
穴あけやネジ切りで使われる除去加工法
「穴あけ、リーマ、タップ加工」について解説
中ぐり加工
穴を大きく広げる除去加工法
「中ぐり加工」について解説

ターニングセンタで使われる測定センサ

タッチプローブ

ターニングセンタについて|ターニングセンタで使われる測定センサ
写真は、マシニングセンタでの使用例

タッチプローブは、加工後のワークのL寸(長さ)の計測や、 主軸の熱変位の補正などにも使われます。

ターニングセンタについて|タッチプローブについて
あわせて読みたい

複合加工機(ターニングセンタ)の種類について

複合加工機には「NC旋盤」ベースと「マシニングセンタ」ベースの2種類があります。

明確な定義はありませんが、従来の工作機械をベースに主軸を追加し工程集約したものが「複合加工機」とよばれています。

NC旋盤ベースの複合加工機(ターニングセンタ)

ターニングセンタについて|NC旋盤ベースの複合加工機(ターニングセンタ)

NC旋盤をベースに、ドリルフライスなどの回転軸を追加したものです。
丸ものやシャフトなど、円筒状のワークが得意です。

タレット(刃物台)にあらかじめ複数の工具を割り付けることができるため、工具交換の時間が短縮できます。

マシニングセンタベースの複合加工機

ターニングセンタについて|マシニングセンタベースの複合加工機

マシニングセンタをベースに、回転テーブルなどの回転軸を追加したものです。
角ものや大物ワークなど、立体的なワークが得意です。

5軸加工機としても使われ、加工面の多い金型加工にも効果を発揮します。

ターニングセンタの代表的なメーカー

ターニングセンタについて|ターニングセンタの代表的なメーカー

ワークの複雑化やリードタイム短縮にともない、工程集約ニーズが高まっています。
工作機械メーカーでは、それぞれの得意分野を活かした複合加工機の開発が進んでいます。

自動部品加工などの生産現場で多く使われている「ターニングセンタ」のメーカーを、一部ご紹介します。

〈ターニングセンタの関連メーカー〉
メーカー ターニングセンタの種類
(株)オーエム製作所 立形ターニングセンタ
オークマ(株) 超複合加工機
芝浦機械(株) 立旋盤ターニングセンタ
(株)タカハシキカイ 2スピンドル精密ターニングセンタ
(株)TAKISAWA 工具主軸型複合加工機
(株)ツガミ 5軸同時制御ターニングセンタ
DMG森精機(株) 並行2スピンドルターニングセンタ
中村留精密工業(株) タレット型複合加工機
ハース(Haas)- アメリカ ミーリング機能付きCNC旋盤
村田機械(株) 対向2軸CNCターニングセンタ
ヤマザキマザック(株) ハイブリッド複合加工機

◎あいう順・敬称略

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ターニングセンタとは?まとめ

この記事では、「複合加工機」とよばれるターニングセンタについて紹介しました。

ターニングセンタは高機能化が進み、「研磨加工」や「歯車加工」にまで用途が拡大しています。
また自動車部品などの生産現場では、産業用ロボットとの組み合わせによる自動化ラインに続々と導入されています。

本記事が、ターニングセンタを知る「はじめのいっぽ」となればうれしいです。

〈 ターニングセンタ の関連キーワード〉

切削 工作機械 旋削 除去加工

この記事の監修者

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる
文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」参加企業

2020年に「はじめの工作機械」を立ち上げ(はじめの工作機械とは

所属
掲載・登録
寄稿・著書
SNS・運営サイト

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