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SPCCとは?SPCC(冷間圧延鋼板)の特徴とSPHCとの違い

SPCCとは?SPCC(冷間圧延鋼板)の特徴とSPHCとの違い

更新日:
2023/02/22 (公開日: 2023/02/22 ) 著者: 甲斐 智
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塑性加工金属材料除去加工
     

SPCCは、SPC材(Steel Plate Cold)に分類される炭素鋼のひとつです。SPHCをさらに冷間圧延したもので、流通量と加工性の高さから、自動車のボディや家電製品の部品などに使用されています。

この記事では、SPCCの特徴やSPHCとの違いについて解説します。

SPCC(冷間圧延鋼板)とは

SPCCは冷間圧延鋼板とよばれ、SPHC(Steel Plate Hot Commercial)を冷間圧延してつくられます。炭素鋼のなかでも、炭素含有量が0.1%未満と少なく、SPC材に分類されます。

SPCCは板金・プレス用の鋼材で、板材以外は流通していません。板厚は0.5~3.2mmがほとんどで、そのなかでも1.6mm・2.0mmの板厚が安定して流通しています。

SPCC鋼板:
Steel Plate Cold Commercialの略。常温で圧延した鋼板。
引用元:生産技術部|鹿児島県工業技術センター
SPCC(冷間圧延鋼板)について|SPCCは「圧延材」や「コールド」、表面がなめらかなことから「ミガキ材」ともよばれます。
SPCCは「圧延材」や「コールド」、表面がなめらかなことから「ミガキ材」ともよばれます。

SPCCの特徴

SPCC(冷間圧延鋼板)について|SPCCの特徴

SPCCは、炭素鋼のなかでも加工性と成形性の高さが特徴です。

SPCCは加工性・成形性が高い

SPCCは炭素の含有量が少なくやわらかいため、加工性・成形性が高い材料として知られています。
特に、曲げ加工や絞り加工に向いています。またSPCCは溶接にも向いています。

SPCCは表面が滑らか

SPCCは表面が滑らかなため加飾性が高く、塗装やメッキなどでさらに美しい外観を得られます。

SPCCは酸化しやすくさびが発生しやすい

SPCCは、表面の酸化皮膜を落としています。そのため酸化しやすく、通常は出荷時にオイルを塗布することで酸化を抑えています。酸化を防ぐためには、加工後の塗装やさび防止処理、メッキなどの後処理が欠かせません。

SPCC(冷間圧延鋼板)について|長期間在庫としてストックする際は、さびが発生しないように注意しましょう。
長期間在庫としてストックする際は、さびが発生しないように注意しましょう。

SPCCとSPHCとの違い

SPCC(冷間圧延鋼板)について|SPCCとSPHCとの違い

SPCCとSPHCとの違いは、製造時の温度帯です。SPHCは熱間圧延、SPCCはSPHCをさらに冷間圧延したもので、その性質は大きく異なります。

精度優先の場合は「SPCC」、コスト優先の場合は「SPHC」が選択されることが多いです。

コストの比較

SPCC SPCCはSPHCをさらに冷間圧延(再結晶が起きない温度)して製造されるため、加工硬化が生じています。
SPHCにくらべると加工に大きな力が必要となり、製造工程も多くコストが上がります。
SPHC SPHCは熱間圧延(再結晶温度よりも高い温度)で製造されるため、加工硬化がありません。
製造コストも低く、特殊な厚さでなければ安価に入手することが可能です。

精度の比較

SPCC SPCCは材料の温度変化が小さく、寸法精度が高いことが特徴です。
SPHCよりも薄板の製造が可能です。
SPHC SPHCは材料の温度変化により、寸法精度は高くありません。

SPCCの切削加工ポイント

SPCC(冷間圧延鋼板)について|SPCCの切削加工ポイント

SPCCは板材での流通となるため、切断・曲げ・溶接が多く、切削加工のシーンは限られますが、穴あけやねじ立てでは、一部で切削加工が必要になることもあります。
SPCCは炭素鋼のなかでも炭素含有量が少なく、やわらかいため、比較的切削しやすい材料といえます。
一般的な炭素鋼の加工ポイントに配慮することが重要です。

〈SPCC(冷間圧延鋼板)の関連キーワード〉

塑性加工 金属材料 除去加工

この記事の編集者・プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」参加企業

2020年に「はじめの工作機械」を立ち上げ(はじめの工作機械とは

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