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〈JIMTOF2022〉樹脂・金属3DプリンターとAM技術の動向|vol.5

〈JIMTOF2022〉樹脂・金属3DプリンターとAM技術の動向|vol.5

更新日:
2024/01/10 (公開日: 2022/11/17 ) 著者: 甲斐 智
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多様化する工作機械。工作機械のコアとなる機械技術は「切削」「研削」「研磨」といった加工技術だけでなく、切削工具やツーリング・切削油・CAD/CAM・センサなどからなる総合技術です。
この記事では、2022年11月8~13日まで6日間に渡り開催されたJIMTOF2022[第31回日本国際工作機械見本市]の会場レポートを、5つのテーマに分けてお届けします。

Vol.5ではJIMTOFの会場で取材した、金属3Dプリンターの最新動向をご紹介します。

〈JIMTOF2022 レポート一覧〉

工作機械におけるAM技術の活用

JIMTOF2022レポートについて|工作機械におけるAM技術の活用

AM技術は、付加加工(Additive Manufacturing)の略で、積層造形によって材料を積み重ねながら造形する先端技術として注目されています。

AM×DX:
我が国では、AMは単に工作機を3Dプリンタに置き換えることと捉えられがちですが、製造プロセス全体のデジタル化やプロセスの超効率化、サプライチェーン変革をも実現するものであり、AMはDXを実現するツールの一つと言えます。
引用元:近畿経済産業局|三次元設計を活用した“デジタルモノづくり”を促進

これまで付加加工を行う3Dプリンターは、樹脂造形で使われるのが一般的でしたが、金属加工の分野では「金属3Dプリンター」が実用化されており、切削加工と組み合わせた複雑形状の加工や、金属部品の修理などに活用されています。

JIMTOF2022レポートについて|JIMTOFでは今回からAMエリアを新たに開設。国内外のメーカーが3Dプリンターを発表しています
JIMTOFでは今回からAMエリアを新たに開設。国内外のメーカーが3Dプリンターを発表しています。JIMTOFにて取材をした樹脂3Dプリンター・金属3Dプリンターの最新技術をご紹介します。
JIMTOFとは?
JIMTOF2022レポートについて|JIMTOFとは?

JIMTOF(ジムトフ)は、2年に一度開催される、工作機の国際展示会です。世界四大工作機械見本市に数えられ、最新の工作機械技術が世界中から集結。第31回を迎える2022年は、過去最高の1000社以上もの企業が出展し、6日間の総来場者数は 114,158名 にのぼりました。
→JIMTOFについて詳しく解説

工作機械業界でも活躍する樹脂・金属3Dプリンター

試作のイメージが強い3Dプリンタの活用ですが、積層技術の高度化によって、量産部品への適応が進んでいます。特に多品種少量生産が増える工作機械業界では、航空機部品の複雑形状の一体加工や、医療部品のリードタイムの短縮など、さまざまな産業革新に貢献しています。

ミクロンオーダーの精密な樹脂3Dプリンター

JIMTOF2022レポートについて|ミクロンオーダーの精密な樹脂3Dプリンター

BMF Japan株式会社では、これまでの常識を打ち破る「高精度3Dプリンター シリーズ」を展示。従来の切削加工では再現が難しい、複雑かつ微細な造形が可能で、金型レスによる大幅なコスト削減と試作期間の短縮が実現する。

JIMTOF2022レポートについて|独自の光造形技術(PµSL)で、ミクロンオーダーの造形精度を発揮
独自の光造形技術(PµSL)で、ミクロンオーダーの造形精度を発揮

同社の高精度3Dプリンターは、独自の光造形技術(PµSL)で、ミクロンオーダーの造形精度を発揮。コネクタやチップソケットなどの電子部品から、マイクロニードルやマイクロ流体などのバイオ・医薬分野まで、その活用は広がっている。
BMF社では「3D試作・造形サービス」も展開しており、マイクロ造形の新たな市場開拓にも取り組む。

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BMF Japan株式会社
出展ブースAM110

粉末材料をカートリッジごと交換できる金属3Dプリンター

JIMTOF2022レポートについて|粉末材料をカートリッジごと交換できる金属3Dプリンター
レーザ⾦属積層造形機|LASERTEC 12 SLM

DMG森精機株式会社では、パウダーベッド⽅式(PBF)のレーザ⾦属積層造形機「LASERTEC 12 SLM」を展⽰。ワーク展示や実演加工を通して、DMG森精機の最新ソリューションを提案する。
同社のLASERTEC 12 SLMは、モジュール式が特徴だ。ステンレスやチタンなど、粉末材料をカートリッジごと交換することができ、材料交換の作業時間を大幅に短縮することができる。
同社では、金属3Dプリンターの導入ハードルを下げるため、受託加工も行なっている。まずはAM技術でどこまでできるか体験してほしいという。

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DMG森精機株式会社

切削ができるハイブリッドな金属3Dプリンター

JIMTOF2022レポートについて|切削ができるハイブリッドな金属3Dプリンター
ハイブリッド金属3Dプリンター|LUMEX Avance-25

株式会社松浦機械製作所では、ハイブリッド金属3Dプリンター「LUMEX Avance-25」を展⽰。これまで同社が蓄積してきたAM技術のノウハウを、“AMのモノづくり”と題し、最新の造形事例やユーザ実例を紹介する。
LUMEX Avance-25は、切削用の主軸を搭載したハイブリッドモデルだ。パウダーベッド方式(PBF)で金属積層を繰り返しながら切削を行うことで、高品位な面粗度が実現。金型加工や部品加工のリードタイム短縮につながるという。工程集約に強い同社ならではの提案だ。

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株式会社松浦機械製作所
出展ブースAM105


大形高機能部品にも対応する金属3Dプリンター

JIMTOF2022レポートについて|大形高機能部品にも対応する金属3Dプリンター
パウダDED方式3次元金属積層造形機|LAMDAシリーズ

ニデックマシンツール株式会社では、デポジション方式(DED)とバインダージェット方式(BJT)の2種類の金属3Dプリンターを展⽰。なかでも注目なのが「LAMDAシリーズ」だ。
LAMDAシリーズは、パウダーデポジション方式の金属3Dプリンターで、補修・複層・大形造形を得意とする。自社開発のノズルで造形中のシールドガスを抑制し、造形材料の酸化を防ぐとともに、モニタリング機能によって、長時間の安定造形が可能だ。
チタン合金や低熱膨張合金の造形もでき、航空機部品から宇宙関連・自動車分野まで、大形高機能部品の造形ニーズに応える。

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ニデックマシンツール株式会社

高い生産性と造形精度を両立した金属3Dプリンター

JIMTOF2022レポートについて|高い生産性と造形精度を両立した金属3Dプリンター
ワイヤー・レーザー金属3Dプリンター|AZ600

三菱電機株式会社では、デポジション方式(DED)の金属3Dプリンターを展⽰。補修用途や溶接の代替用途を想定した提案とともに、DEDの特長を活かした高速・高品質の造形実演を行う。
パウダーベッド方式(PBF)が多いなか、同社では金属ワイヤーで造形するレーザーワイヤーデポジション方式を採用。パウダーデポジション方式にくらべ、粉末材料のムダがなく、管理やメンテナンスも容易だ。レーザによる溶融付着で、高い生産性と造形精度を両立させた。
航空機部品や自動車部品など、切削量の多い機械部品の造形や、ニアネットシェイプ(最終形状に近い仕上げ)の造形ニーズに応える。

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三菱電機株式会社

大形造形に最適な樹脂3Dプリンター

JIMTOF2022レポートについて|大形造形に最適な樹脂3Dプリンター
3Dプリンタ-|HERO500

工作機械メーカーの株式会社桜井製作所では、2022年6月にリリースした熱溶解積層法方式(FFF)の大型3Dプリンター「HERO500」を展示。
これまで大形の試作やジグの樹脂造形は、多数のパネルを貼り合わせるなど、複数の工程が必要だった。同社のHERO500では、500×500×500mmの造形サイズに対応し、大形の造形でも1:1の等倍で出力することができる。金属フィラメントにも対応するため、金属造形も可能だ。
また造形サイズ1000×1000×1000mmに対応した「HERO1000」もコンセプト展示(参考出展)。さらなる大形造形のニーズに応える。

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株式会社桜井製作所

JIMTOF2022 樹脂・金属3DプリンターとAM技術まとめ

ここでは、JIMTOF2022にて取材をした最新の3Dプリンターをご紹介しました。
3Dプリンターは試作エンジニアだけのものではありません。急速な金型レスの波に対応できるように、金属加工業であっても積極的な導入が必要になってくるでしょう。今後の3Dプリンターの進化に注目です。
(製品の最新情報については、必ず各メーカーの公式サイトよりご確認ください)

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この記事の編集者・プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」参加企業

2020年に「はじめの工作機械」を立ち上げ(はじめの工作機械とは

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