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トランスファーマシンとは|「NC専用機」とトランスファーマシンを解説

トランスファーマシンとは|「NC専用機」とトランスファーマシンを解説

公開日:
2020/05/04(2020/08/20 更新)by 甲斐 智
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| 切削 | 工作機械 | 除去加工 |

トランスファーマシンは、さまざまな「NC専用機」や「NC工作機械」を工程順にならべた大規模な加工システムです。

自動車のエンジン部品の穴を効率よくあけるためにつくられたシステムで、自動車部品をはじめ、モーターやカメラ部品などの量産品の機械加工に広く使われています。
自動車産業の発展にかかせない加工システム です。

この記事では、トランスファーマシンと「NC専用機」の種類や、近年増えているFTL/FMSについて、かんたんに解説します。

トランスファーマシンってどんな機械?

工作機械とトランスファーマシンについて|
Rotary transfer machine
引用元:K.R. Pfiffner AG

トランスファーマシンは、さまざまな「NC専用機」を工程順にならべた大規模な加工システムです。

それぞれのNC専用機は、トランスファー装置(ワーク自動送り装置)によって、連結されています。
加工ワークの着脱から搬送までを自動でおこなう ことで、連続加工ができます。

数十台の「NC専用機」を直線にならべたものや、100台以上による大型システムまで、さまざまな規模のトランスファーマシンがあります。

トランスファーマシンでできる加工

工作機械とトランスファーマシンについて|トランスファーマシンでできる加工

NC専用機は「ユニット」とよばれる構成要素の組み合わせによって、さまざまな加工ができます。

  • フライス加工
  • 穴あけ、リーマ、タップ加工
  • 中ぐり加工
フライス加工
工具を回転させて削る除去加工法
「フライス加工」について、かんたん解説
穴あけ、リーマ、タップ加工
穴あけやネジ切りで使われる除去加工法
「穴あけ、リーマ、タップ加工」について、かんたん解説
中ぐり加工
穴をおおきく広げる除去加工法
「中ぐり加工」について、かんたん解説

トランスファーマシンで使われる「NC専用機」について

NC専用機は、ひとつの加工に特化した「NC工作機械」です。
マシニングセンタにくらべシンプルな構造のため、加工精度が高いのが特徴です。

特定の機能だけを搭載した専用設計で、大量生産に適しています。

加工は、ワーク供給装置やワーク着脱装置によって、すべて自動化されています。

NC専用機の種類

NC専用機は、加工ステーション(加工をおこなう場所)の数によって、おおきく2種類に分けられます。

シングルステーション専用機

ひとつの加工ステーションでひとつの加工をする、単機能のNC専用機です。

マルチステーション専用機

複数の加工ステーションでさまざまな加工をする、複合機能のNC専用機です。

10基以上のステーションをもった大規模ラインが、トランスファーマシンとよばれます。

加工ステーションのならべかたによって、「直線形」「ロータリー形」などがあります。

直線形
工作機械とトランスファーマシンについて|直線形

ワークを直線状にならべて、加工ステーションを一列に配置します。

ロータリー形
工作機械とトランスファーマシンについて|ロータリー形

ワークを回転テーブルに乗せて、そのまわりに加工ステーションを配置します。

NC専用機のユニットの種類

NC専用機は、「ユニット」とよばれる機械装置で構成されています。

さまざまな機能のユニットを組み合わせることで、生産ラインを短時間で立ち上げることができます。

タレットヘッドユニット

工作機械とトランスファーマシンについて|タレットヘッドユニット

タレット(旋回式の工具交換装置)を搭載した、ヘッドユニットです。
自動工具交換により、いくつもの加工に対応できます。

フライスユニット

工作機械とトランスファーマシンについて|フライスユニット

フライス加工を行うユニットです。
重切削にも対応できるよう、高い剛性を持っています。

ドリリングユニット

工作機械とトランスファーマシンについて|ドリリングユニッ

穴あけ加工リーマ加工を行うユニットです。
量産の多くを占める「穴あけ」を、効率的に行います。

NC多軸ボール盤とおなじ機能をもった、多軸ヘッドのドリリングユニットもあります。

スピンドルユニット

加工用の主軸ユニットです。
回転主軸にドリルフライスなどの工具を取り付けて使われます。

ボーリングユニット

中ぐり加工を行うユニットです。
ドリルユニットであけた下穴をくり広げたり、精密な穴加工で使われます。

精密ベアリングの搭載によって、高速・高精度加工ができます。

フィードユニット

加工用の送りユニットです。
スピンドルユニットと組み合わせ、工具を送るために使われます。

油圧シリンダによる「油圧駆動式」や、サーボモータによる「メカ駆動式」があります。

インデックステーブルユニット

ワークを回転させるための、テーブルユニットです。
精密カップリング(伝導部品)の噛み合わせで、テーブルを駆動させます。

FTL/FMS フレキシブルラインについて

工作機械とトランスファーマシンについて|FTL/FMS フレキシブルラインについて
An example of an MCM Flexible Manufacturing System ©CC BY 4.0
この画像は、クリエイティブ・コモンズ(CC BY 4.0)ライセンスのもと再編集されています

トランスファーマシンに替わり、近年よく採用されているのが「FTL」や「FMS」といったフレキシブル生産システムです。

FTL:フレキシブル・トランスファー・ライン(Flexible Ttransfer Line)
FMS:フレキシブル・マシン・システム(Flexible Machine System)

従来のトランスファーマシンで使われる「NC専用機」は、専用設計のため多品種少量生産には向いていません。

FTL/FMSではNC専用機の替わりに、汎用性の高い「ライン対応型マシニングセンタ」を使うことで、加工内容によって、生産ラインを柔軟に変えることができます。

トランスファーマシンとは?まとめ

この記事では、トランスファーマシンと「NC専用機」の種類について、かんたんに解説しました。

自動車部品の加工ラインでは今、「ターンキー」とよばれるシステムの導入が増えています。
ターンキーは、素材をセットし機械を起動(鍵をまわす)だけで、完成品ができあがる完全自動のシステムです。
この「ターンキー」も、さまざまなNC専用機や周辺機器を組み合わせたトランスファーマシンのひとつです。

本記事が、トランスファーマシンを知るきっかけとなればうれしいです。

この記事(トランスファーマシン)の編集者

甲 斐 智(KAI Satoshi)

甲 斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
14年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる

・株式会社モノト 代表
・株式会社アプト Webディレクター
・一般社団法人日本機械学会 特別員
・東京商工会議所

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