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シャーリングマシンとは|シャーリングマシンの仕組みをかんたん解説

シャーリングマシンとは|シャーリングマシンの仕組みをかんたん解説

公開日:
2020/07/07(2020/09/28 更新)by 甲斐 智
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シャーリングマシンは、「せん断加工」で使われる機械のひとつです。

圧力をかけて金属を切断するため、プレス機械に分類されます。
板を 「はさみ」とおなじ要領で切断するシンプルな機械 で、多くのプレス工場で使われています。

この記事では、自社の工場だけでは知ることのできない「シャーリングマシン」の仕組みや、レーザー加工機とのちがいを、図解をもとに解説します。

シャーリングマシンってどんな機械?

シャーリングマシンは「せん断加工」の切断工程で使われる機械で、「せん断機」ともよばれます。

金属の板を所定のサイズに切断し、プレス加工で使われる「ブランク」を切り出し。
機械の上下には長い刃物がついており、上の刃を金属に押しつけ直線状に切断します。

おもに、4×8尺(約1.2m×2.4m)、5×10尺(約1.5m×3m)の定尺材せん断
鋼板をはじめ、アルミやステンレスなどの材料が切断されます。

シャーリングマシンの仕組み

1.切断前

金属加工とシャーリングマシンについて|シャーリングマシンの仕組み 切断前

稼働刃(上の刃)と固定刃(下の刃)の間に板材をセットし、稼働させます。

板材はバックゲージ(突きあて)まで押し込み、位置決めをします。
(おおきな板材は、フロントゲージを使って寸法を測ります)

2.切断時

金属加工とシャーリングマシンについて|シャーリングマシンの仕組み 切断時
Gasparini sheet metal hydraulic guillotine power shear.©CC BY-SA 4.0
この画像は、クリエイティブ・コモンズ(CC)のもと再編集されています

稼働刃を板材に押しこみ切断。
稼働刃には角度(シャー角)がついており、「はさみ」とおなじ要領で金属を切断します。

切断時の板の「だれ」「ソリ」を防ぐため、サポートを使って板を固定。
サポートには、磁石による「マグネットサポート」や、エア吸着による「エアサポート」があります。

3.切断後

金属加工とシャーリングマシンについて|シャーリングマシンの仕組み 切断後

加工後の板材は、コンベアを使い自動で送ります。
NC制御によるシャーリングが主流です。

シャーリングマシンの切断板厚と切断長について

金属加工とシャーリングマシンについて|シャーリングマシンの切断板厚と切断長について

シャーリングマシンの切断板厚には下限と上限があり、板材によって変わります。

厚板(鋼板で6mm程度)の切断は、刃物のチッピングや故障の原因となります。
また下限より薄い板厚を切断すると、バリやソリが発生するため注意が必要です。

切断できる長さは、機種によって1,200~6,000mmまで、定尺材の長さに合わせてさまざま。
刃物の長さに限界があるため、長さ6m以上の切断には向きません。

6m以上の長い板材の切断には「レーザー加工機」などの特殊加工機が使われています。

シャーリングマシンのクリアランス調整について

シャーリングマシンでは、「切り口」のだれやバリの発生をおさえるため、「シャー角」と「クリアランス」の調整がかかせません。

切り口は、製品の品質におおきく影響します。

シャー角

金属加工とシャーリングマシンについて|シャー角

シャー角は、「稼働刃」と「固定刃」の開き角度です。

シャー角をおおきくすると、ちいさな加圧でも切断がでますが、切断中の板材が安定しないため寸法精度が落ち、切り口が荒くなります。

板厚・材質や、刃物の摩耗によって、シャー角の設定が重要になります。

クリアランス

金属加工とシャーリングマシンについて|クリアランス

クリアランスは、「稼働刃」と「固定刃」のスキマのおおきさです。

クリアランスがおおきいとせん断面が荒くなりバリが増えますが、ちいさいと刃物のチッピングや加工不良の原因となります。

板厚や材質に応じた「クリアランス量」の微調整が、重要になります。

シャーリングマシンの種類

金属加工とシャーリングマシンについて|シャーリングマシンの種類

シャーリングマシンは、駆動方式によって2種類に分けられます。

シャーリングマシン(せん断機):
板材を上下一対の長い切刃で切断する機械です。原理的にははさみと同じです。
油圧式が主流ですが機械式もあります。
引用元: 日本鍛圧工業会「鍛圧機械とは?-板金機械」

それぞれ、ラムとよばれる「駆動機構」をスライドさせ、刃物に圧力をかけます。

機械式シャーリングマシン

フライホイールの回転運動で「ラム」を駆動させるシャーリングマシンです。
加工スピードがはやく、薄板の切断に向いています。

機構が簡単なためべメンテナンスがかんたんですが、切断時の衝撃がおおきく、振動・騒音が発生します。

油圧式シャーリングマシン

油圧ポンプで「ラム」を駆動させるシャーリングマシンです。
加圧力が一定なためせん断面が安定し、厚板の切断に向いています。

機械式にくらべ作動油のメンテナンスがかかせません。

切断時の衝撃がちいさいため振動・騒音が少なく、刃物の寿命も長くなります。

シャーリングマシンの刃物の稼働方式

ギロチン式

稼働刃を上下運動で動かし、板材を切断します。
シャー角(稼働刃の角度)を調整がかんたんです。

スイング式

稼働刃を円運動でスイングさせ、板材を切断します。
クリアランス(上下の刃のスキマ)が一定になるため、せん断面がキレイです。

シャーリングマシンのなかま

シャーリングマシンには、切断方法や材料のカタチに合わせて、さまざまな機種があります。

コーナーシャーリングマシン

金属加工とシャーリングマシンについて|コーナーシャーリングマシン

板材の角(コーナー)を切断するための機械です。
切り欠き加工」による、ブランクの補強や工数削減で使われます。

曲げ加工」と組み合わせることで、箱物のプレス加工にも使用されます。

ビレットシャー

金属加工とシャーリングマシンについて|ビレットシャー

ビレットを切断するための機械です。
(ビレットは「連続鋳造」でつくられたバー材用の素材です)

ロータリーシャー

金属加工とシャーリングマシンについて|ロータリーシャー

コイル材を回転させながら連続切断する機械です。
コイル材は「圧延」した金属をコイル状に巻き取った材料です)

ギャップシャー

ギャップシャーは、板材を送りながら連続で切断する機械です。
フレームに設けられたギャップの範囲内で、板材を送ることができます。

ノッチングプレス

ノッチングプレスは、板材の端の切り欠くためのプレス機械です。
切り欠き加工」による、ブランクの補強や工数削減で使われます。

その他の切断加工機

金属加工とシャーリングマシンについて|そのほかの打ち抜き加工機

板材の切断には、レーザー加工機放電加工機などの特殊加工機も使われます。
これらの機械は「抜き打ち加工」や「穴あけ加工」にも対応できるため、多くの工場で採用されています。

これらの機械にはCAD/CAM が必要なため、単発加工には「シャーリングマシン」が向いています。

レーザー加工機

レーザーを照射して金属を切断。
複雑形状の切断や、マーキング・彫刻加工もできます。

金属を熱で溶かして切断するため、「せん断面のだれ」や「バリ」が発生しません。
シャーリングマシンよりもコストがかかるため、量産に使われます。

プラズマ加工機

プラズマを放電して金属を切断。
レーザー加工機よりもコストが低いですが、板材は通電するものに限られます。

25mm以上の厚板の切断もできます。

ウォータジェット加工機

超高圧の水を噴射して金属を切断。
チタンなどの難削材から変形しやすいウレタンまで、さまざまな材質に対応できます。

「水」を使うため、切削レーザ加工プラズマ加工にくらべ、発熱がありません。

シャーリングマシンとは?まとめ

この記事では、自社の工場だけでは知ることのできない「シャーリングマシン」の仕組みや、レーザー加工機とのちがいについて解説しました。

シャーリングマシンの仕組みを知ることで、プレス機械の選定の参考になればうれしいです。

この記事(シャーリングマシン)の編集者

甲 斐 智(KAI Satoshi)

甲 斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
14年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる

・株式会社モノト 代表
・株式会社アプト Webディレクター
・一般社団法人日本機械学会 特別員
・東京商工会議所

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