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放電加工(EDM)とは|放電加工とプラズマ加工・電解加工をやさしく解説

放電加工(EDM)とは|放電加工とプラズマ加工・電解加工をやさしく解説

公開日:
2020/06/01(2020/09/28 更新)by 甲斐 智
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| 工作機械 | 特殊加工 | 除去加工 |

放電加工は、電気エネルギーを熱にかえて、金属を溶かす「除去加工」のひとつ。

電気を通す金属であれば、どんな金属でも加工ができ、 切削加工ではむずかしかった「難削材」の微細加工 も実現。
高い精度がもとめられる金型をはじめ、半導体・自動車などの精密部品の加工で活躍しています。

この記事では、切削にくらべてわかりにくい「放電加工」の特徴から、プラズマ加工・電解加工まで、「電気エネルギー」を使った金属加工について、わかりやすく解説しています。

放電加工(EDM)ってどんな加工?

放電加工は、電気エネルギーを熱にかえて、金属を溶かす加工方法です。

加工ワークと工具(電極)の数ミクロンのスキマに放電し、6000℃以上の熱と衝撃で金属をすこしずづ削ります。

絶縁性のある加工液にワークを沈め、1秒間に数万回の火花(アーク放電)をとばすことで、 ワークの表面を1ミクロンの精度で加工 します。

(削りカスは加工液のなかで固まり、洗い流されます)

放電加工:
放電加工とは、火花放電エネルギーにより電極を用いて被加工物の金属表面を溶融して加工する方法です。
複雑な形状を高精度で材料の硬さに関係なく加工できる特長があり、金型製作などの現場を中心に広く用いられています。
引用元: 技のとびら「放電加工技能士」
工作機械と放電加工(EDM)について|放電加工(EDM)ってどんな加工?

切削加工にくらべ加工時間がかかるため、「NC放電加工機」による無人運転が行われます。
放電加工は、EDM(Electrical Discharge Machining)ともよばれます。

放電加工(EDM)の種類と特徴

工作機械と放電加工(EDM)について|放電加工の種類と特徴

放電加工には、「型彫り放電加工」「ワイヤ放電加工」「細穴放電加工」の3つの加工方法があります。

いずれの加工も、絶縁性のある加工液(脱イオン水や石油系の液)にワークを沈め、ワーク側に(+)、電極側に(-)の電流を流します。

ワークと電極の間には数ミクロンのスキマがあり、非接触で加工が行われます。

工作機械と放電加工(EDM)について|放電加工の材質

型として使われる「電極」は、銅やグラファイト(黒鉛)などの安くてやわらかい材質でつくられます。
ワークよりもやわらかい工具を使い加工できるのも特徴です。

型彫り放電加工

工作機械と放電加工(EDM)について|型彫り放電加工

あらかじめ型が彫られた電極を使い、型のカタチを転写します。
加工液のなかのワークに、型(電極)を押しつけるように近づけて、放電します。

電極のNC制御によって、3次元の複雑な立体加工ができます。

工作機械と放電加工(EDM)について|型彫り放電加工

加工には、「NC形彫り放電加工機」が使われます。

工作機械と放電加工(EDM)について|放電加工の自動型交換
NC形彫り放電加工機による「自動型交換」

規格品の電極棒を自由に動かし、さまざまなカタチに成形する「創成放電加工機」や、グラファイト電極を加工するための「グラファイト加工機」などの機械もあります。

ワイヤ放電加工(ワイヤーカット)

工作機械と放電加工(EDM)について|ワイヤ放電加工

細いワイヤ状の電極を使い、糸ノコのように金属を切断します。
加工液のなかのワークに、ワイヤー(電極)を押しつけるように近づけて、放電します。

工作機械と放電加工(EDM)について|ワイヤ放電加工

電極のNC制御によって、2次元の微細な輪郭加工ができます。

工作機械と放電加工(EDM)について|ワイヤ放電加工

ワイヤーとして使われる「電極」は、直径0.1mmほどの銅やタングステンで、ピンと張った状態で巻き取りながら、ワークを切断していきます。

ワイヤ放電加工は、WEDM(Wire Electrical Discharge Machining)ともよばれます。

加工には、「ワイヤーカット(NCワイヤ放電加工機)」が使われます。

細穴放電加工

工作機械と放電加工(EDM)について|細穴放電加工

棒状の電極を使い、金属に穴をあけます。
加工液のなかのワークに、銅や真鍮などの工具(電極)を押しつけるように近づけて、放電します。

工作機械と放電加工(EDM)について|細穴放電加工

従来の穴あけ加工ではできない、φ0.1mm以下の細長い穴をあけることができ、金型のエア抜き穴や精密ノズルなど、細穴の加工で活躍します。

加工には、「NC細穴放電加工機」が使われます。

放電加工(EDM)を応用した「プラズマ加工」について

工作機械と放電加工(EDM)について|放電加工を応用した「プラズマ加工」について

「プラズマ加工」は放電加工のひとつで、放電によって発生したエネルギー(プラズマジェット)をノズルから噴射し、ワークを切断する加工方法です。
電気の通らない材質でも加工ができるため、鋼板や合金・ステンレスなどの厚板の切断に使われます。

レーザー加工よりもランニングコストが低く切断面の精度もよいため、ガス切断に替わって使われることが多くなっています。
また「タレットパンチプレス」ではむずかしい、25mm以上の厚板の切断もできます。

プラズマ加工には、「プラズマ加工機」が使われます。

放電加工(EDM)と似ている「電解加工(ECM)」とは?

放電加工と似ている加工に「電解加工」があります。

電解加工は、ワークと工具(電極)の数ミクロンのスキマに放電し、アルカリ性の電解液をかけることで、金属を化学的に「溶かす」加工方法です。

放電加工とおなじように、電気を通す金属であればどんな金属も加工ができ、いままでの切削ではむずかしかった「難削材」の微細加工や、バリの除去にも使われます。
「型彫り電解加工」「ワイヤ電解加工」などの加工方法があります。

熱が発生しないため、放電加工にくらべて表面のワレが起こりにくく、加工スピードがはやいのも特徴です。

電解加工は、ECM(Electro Chemical Machining)ともよばれ、加工には「NC電解加工機」が使われます。

放電加工(EDM)とは?まとめ

この記事では「放電加工」の特徴から、プラズマ加工・電解加工まで、「電気エネルギー」を使った金属加工について解説しました。

切削にくらべてすこしわかりにくい加工ですが、金型や板金の加工現場では、さまざまな放電加工機が活躍しています。

本記事が、はじめて放電加工を知るかたの、きっかけになればうれしいです。

この記事(放電加工(EDM))の編集者

甲 斐 智(KAI Satoshi)

甲 斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
14年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる

・株式会社モノト 代表
・株式会社アプト Webディレクター
・一般社団法人日本機械学会 特別員
・東京商工会議所

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