プレスブレーキとは?プレスブレーキ・ベンダーの種類を解説
- 更新日:
- 2022/08/31 (公開日: 2020/07/07 ) 著者: 甲斐 智
プレスブレーキは、「曲げ加工」で使われる機械のひとつです。
圧力をかけて金属の板を曲げるため、プレス機械に分類されます。
板材には「タレパン」で打ち抜いたブランクや、「圧延」で伸ばされた圧延材が使われ、鋼板をはじめ板厚0.5~5mmほどのアルミやステンレスを曲げていきます。
この記事では、自社の工場だけでは知ることのできない「プレスブレーキ」の工程や、現場で使われるベンディングマシンの種類を、図解とともに解説します。
プレスブレーキ(ベンディングマシン)ってどんな機械?
プレスブレーキは、「曲げ加工」に使われるプレス機械です。
ベンディングマシンを代表する機械で、「曲げ機」ともよばれます。
先端の尖った「パンチ金型」を板材に押し込み、曲げていきます。
受け側にはV溝加工された「ダイ」があり、ダイのカタチにあわせて角度がつき、NCによって加圧量や曲げ順序をコントロールします。
プレスブレーキを使った曲げには、「V溝金型」による直角曲げだけではなく、「丸型パンチ」を使ったR曲げなど、さまざまな曲げ方があります。
(※諸説あります)
プレスブレーキの工程
1.加工前
上型「パンチ」と下型「ダイ」の間に板材をセットし、稼働。
板材はバックゲージ(突きあて)まで押し込み、位置決めをします。
金型の着脱にはワンタッチ式や、QDC(自動金型交換システム)があります。
QDCを使うことで、金型段取りの短縮と長時間の自動運転が可能です。
2.加工中
パンチを板材に押し込み、曲げ加工をします。
板材を固定しないため、成形品の跳ね上げや、落下、腰折れ(ダイ接触による変形)に注意が必要です。
板のソリ(スプリングバック)を抑えるため、「2段曲げ」や「ストライキング」など、さまざまな対策が取られます。
プレスブレーキは、長い作業スペースを利用して同時加工をすることができます。
角度がことなる複数の金型を取り付け、同時に加工を行うことで、生産性が上がります。
プレスブレーキの駆動方式
プレスブレーキは駆動方式によって4種類に分けられ、フレーム形状は「C形」と「ストレートサイド形」に分類されます。
それぞれ、ラムとよばれる「駆動機構」をスライドさせ、パンチを押し込みます。
プレスブレーキ:引用元: 日本鍛圧工業会「鍛圧機械とは?-板金機械」
長短尺板材の直線折り曲げを行う機械です。C形フレーム構造で油圧式が主流ですが、サーボ駆動式や機械式もあります。
また5×20尺(約1.5m×6m)の定尺材が加工できる、幅7mの大型機種もあります。
幅の広い板材の曲げには、金型や圧力の調整など作業者の熟練が必要です。
油圧式プレスブレーキ
油圧シリンダーで「ラム」を駆動させるプレスブレーキです。
油圧をコントロールすることで、圧力や加工スピードをコントロールすることができます。
加圧能力が高く、もっとも使われているプレスブレーキです。
サーボモータ式プレスブレーキ
サーボモータで「ラム」を駆動させるプレスブレーキです。
環境に配慮した、作動油を使わないパンチプレスです。
サーボモータでラムを駆動するため、圧力や加工スピードの精密なコントロールができますが、加圧力は低くなります。
ハイブリッド式プレスブレーキ(油圧サーボ)
「油圧式」と「サーボモータ式」を組み合わせたプレスブレーキです。
サーボモータで油圧ポンプを制御し、「ラム」を駆動。
加工スピードを精密にコントロールしながら、油圧による加圧力を発揮することができます。
作動油や発熱も少なく、環境性能に優れます。
機械式プレスブレーキ
モーターの回転運動で「ラム」を駆動させるプレスブレーキです。
圧力の調整やスピードのコントロールがむずかしく、現在ではあまり見かけません。
加工スピードがはやいため、小さな部品の曲げ加工に適します。
プレスブレーキの位置決め装置「バックゲージ」
精度の高い曲げ加工には、板材の位置決めがかかせません。
プレスブレーキでは「バックゲージ」とよばれる突きあてを使い、板の位置を決めます。
近年ではNC化されたバックゲージが多く、曲げの順序にあわせて工程ごとに自動で位置が変動します。
プレスブレーキのなかま
曲げ加工を行うプレス機には、プレスブレーキ以外にもさまざまな専用機があります。
パネルベンダー(L曲げ機械)
「L曲げ」に使われる、ベンディングマシンです。
専用機のため生産性が高く、量産や自動化ラインに適しています。
ロールベンダー(ベンディングロール)
「ロール曲げ」に使われる、ベンディングマシンです。
3本の回転ロールを使いながら板材を送り、パイプなどの円筒状に曲げていきます。
ロールの位置で、円弧のサイズを調整することができます。
より専用性の高い2本ロール式や、大型の4本ロール式もあります。
ロールフォーミングマシン
「ロール成形」に使われる、ベンディングマシンです。
板材を連続的に送りながら、複数の回転ロールで曲げていきます。
CNCパイプベンダー
パイプの曲げ加工に使われる、ベンディングマシンです。
丸パイプ・角パイプや「押出し材」を、三次元で立体的に曲げながら連続加工します。
リングフォーマー
「条鋼」などのバー材を、曲線状に曲げるベンディングマシンです。
成形した製品は、建築資材や土木資材などに広く使われます。
フォールディングマシン
「押さえ巻き曲げ」に使われる、ベンディングマシンです。
材料の縁を押さえながら、パンチを跳ね上げて曲げます。
箱物の成形に適しています。
プレスブレーキとは?まとめ
この記事では、「プレスブレーキ」の工程や、現場で使われるベンディングマシンの種類を解説しました。
プレスブレーキは、産業用ロボットによる加工ワークの着脱や加工データのIoT化によって自動化が急激に進んでいます。
プレスブレーキの仕組みを知ることで、プレス機械の選定の参考になればうれしいです。