自動旋盤の機内計測で加工不良を削減 – 超小型タッチプローブ
- 更新日:
- 2022/08/31 (公開日: 2021/10/18 ) 著者: 甲斐 智
量産加工に欠かせないCNC自動旋盤。
自動車や医療機器など精密部品の連続加工を得意としますが、検査工程で加工不良が見つかると、歩留まりが大きく低下することも…
この記事では工作機械の自動化に役立つユニークなセンサを開発する株式会社メトロール(東京都立川市)に、CNC自動旋盤における機内計測と同社の新製品についてお聞きしました。
超小型タッチプローブ〈K3S〉について
株式会社メトロールでは、CNC自動旋盤のくし刃刃物台に搭載し、加工ワークの内径・外径の機内計測ができる「超小型タッチプローブ〈K3S〉」を開発・販売を開始しました。
有線式小型タッチプローブ K3Sシリーズ
くし刃刃物台のツールホルダーにぴったり収まるφ19.05mmサイズ。
スペースの狭いCNC自動旋盤でも、他の工具に干渉せず取り付けが可能です。
量産加工の加工不良を未然に防ぎ、作業者による検査工程の省人化が実現します。
繰返し精度 | 0.001mm(2σ) |
---|---|
保護構造 | 小型タッチプローブを使い、加工前のワークを測定 |
検出方向 | 3次元全方向 |
価格 | お見積もりをご依頼ください |
CNC自動旋盤ユーザーの課題
――「超小型タッチプローブ」開発のきっかけを教えてください
開発のきっかけは自社設備のCNC自動旋盤です。
自動旋盤では1,000個〜ロットの精密部品を連続して削るのですが、ツールの摩耗や刃先の予期せぬチッピングで加工不良が出てしまうことがありました。
加工中に不良が出ると、その後の加工すべてが不良品になってしまうことも…
歩留まりの低下と、作業者による検査の負担が課題になっていたのです。
――加工ワークの測定はしていなかったのですね
これまでCNC自動旋盤ではスペースの都合上、機内計測をすることはほとんどありませんでした。
そこで当社では自社の精密位置決め技術をもとに、CNC自動旋盤のいちユーザーとして「機内計測用センサ」を開発。製品化を実現しました。
CNC自動旋盤への搭載例(ワーク内径/外形検査)
(加工不良発生時に、アラームで機械を停止することも可能)
測定時間は必要ですが、その後の検査工程が省略できるため生産性向上にもつながります。
-
機内設置例
-
ツールホルダーと同径サイズ(φ19.05mm)
-
加工ワーク例
-
内径/外形を1ミクロンの繰返し精度で検査
量産加工の悪環境下でも高い耐久性を発揮(IP68)
超小型タッチプローブの最大の特徴は、その耐久性にあります。
保護等級は、水・クーラント・粉塵に強いIP68。
300時間以上にわたる社内の高圧クーラント耐久試験をクリアし、 量産加工の悪環境下でも300万回の耐久性を発揮します。
マシニングセンタ・NC旋盤用のツールセッタで高い実績のあるメトロールだからこそ実現しました。
工作機械業界のスタンダードへ挑戦
――今後の目標を教えてください
製造工程の見直しと内製化により、従来型のタッチプローブとくらべ気軽に導入できる価格を実現しました。
その用途は自動旋盤だけでなく、多軸旋盤や小型工作機械にも広がりつつあります。
機内計測になくてはならない業界のスタンダードとして、少しでも多くの工作機械ユーザーのみなさまに使っていただけたらうれしいです!
今回は株式会社メトロールさまに、CNC自動旋盤の機内計測で加工不良を削減する「超小型タッチプローブ」についてお話を伺いました。
5軸加工や精密加工では欠かせない機内計測センサですが、小型の工作機械ではまだまだ導入が遅れているのも実情です。
超小型タッチプローブの普及で、工作機械の省人化がより一層すすむことを期待しています!
株式会社メトロールについて
会社名 | 株式会社メトロール |
---|---|
所在地 | 〒190-0011 東京都立川市高松町1-100 |
設立 | 1976年6月10日 |
事業内容 | 工場の自動化に貢献する「高精度工業用センサ」の、開発・製造・販売 |
公式サイト | https://www.metrol.co.jp/ |