
テープ研磨とは?フィルムを使ったテープ研磨と研磨加工を解説
- 更新日:
- 2025/02/07 (公開日: 2020/09/04 ) 著者: 甲斐 智
テープ研磨は、「フィルム」を加工ワークに押し付けて、精密に磨き上げる「除去加工」のひとつ。
自動車のシャフトや、電子部品の表面仕上げなど、 高い精度がもとめられる精密部品の表面仕上げ で使われています。
この記事では、テープ研磨の特徴やフィルムについて、かんたんに解説しています。

テープ研磨ってどんな加工?
テープ研磨は、砥粒を塗布したテープ(フィルム)を加工ワークに押し付けて、精密に研磨する加工方法です。形状の加工ではなく、磨きによる表面粗さの仕上げや、コントロールが目的となります。

粒度の細かいテープや粗いテープなどのフィルムを交換することで、鏡面仕上げや荒仕上げなど、目的の表面粗さに調整することができます。
テープ研磨には専用の「テープ研磨機」や、NC研削盤・各種工作機械に取り付けられる「テープ研磨ユニット」などが使われます。
テープ研磨とは:引用元: 社団法人 砥粒加工学会「超音波振動によるラッピングテープの研磨特性の再生」
ラッピングテープによる研磨加工は,加工領域に連続的に新品テープを供給しつつ,加圧ローラで押し付けながら,相対運動させる仕上げ加工である.
テープ研磨でつかわれるフィルム
研磨フィルムMAXIMA
引用元:Mipox Corporation
テープは厚さ数ミクロンのポリエステル製などのフィルムで、その上に0.1ミクロン~の砥粒が均一に塗布されています。
砥粒には、アルミナやダイヤモンドなどが目的によって使い分けられます。
テープを送りながら、常に新しいテープ面で研磨するため、目詰まりがなく(ドレッシングも不要)、なめらかな表面が得られます。
一回あたりの研磨量がすくないため、加工条件によっては、加工時間がかかります。
テープ研磨はどこで使われる?

テープ研磨は、自動車のクランクシャフトやカムシャフトなど、高い精度がもとめられる精密部品の仕上げに使われています。
また、ホーニング加工やラップ加工と違い、加工液を使わない「乾式」の加工もできるため、IT電子部品などクリーン環境下での最終研磨工程にも採用されています。
テープ研磨以外の研磨加工
研磨加工には、テープ研磨以外にもさまざまな種類があります。
砥石や砥粒を使った研磨加工を、いくつかご紹介します。
バフ研磨

研磨剤やコンパウンドを塗布したバフ(やわらかい布状の円盤)を回転させ、ワークに押し付ける研磨方法です。
かんたんなバリ取りや磨きの仕上げ作業で使われ、 生産現場では産業用ロボットによる自動化も行われています。
ベルトサンダー

研磨面が常におなじため、精度は高くありません。
ヤスリがけに近い方法で、粗い研磨で使われます。
その他の研磨加工
「ホーニング加工」について解説
「ラップ加工」について解説
「超仕上げ」について解説
「バレル加工」について解説
テープ研磨とは?まとめ
この記事では、普段あまり見かけることのないテープ研磨の特徴を解説しました。
テープ研磨では、作業者の熟練がなくても、精度の高い研磨加工が実現。
また自動化もしやすく、かんたんに表面荒さの管理ができることも魅力です。
本記事が、日頃の機械加工のヒントになればうれしいです。