超仕上げ – 超仕上げの研磨工程と砥石種類(WA/GC/CBN)を解説
- 更新日:
- 2022/08/31 (公開日: 2020/05/14 ) 著者: 甲斐 智
超仕上げは、低速で回転する加工ワークに砥石を押し付けて、ワークの表面を精密に研磨する「除去加工」のひとつ。
加工面がキレイで耐摩耗性に優れるため、 エンジンのクランク軸やカムシャフト、ボールベアリング軸受などの最終仕上げ に適しています。
この記事では、超仕上げの研磨工程から砥石の種類まで、はば広く解説しています。
超仕上げってどんな加工?
超仕上げは、低速で回転する加工ワークに砥石を押し付けて、ワークの表面を精密に研磨する加工方法です。
砥石に小さな振動(オシレーション)を与えながら、ばねや油圧を使い、低圧で押し付けることで、円筒状の加工ワークの表面を滑らかに仕上げます。
円筒研削にくらべ精度が高く、 0.1ミクロン以下の表面粗さの鏡面仕上げ ができます。
超仕上げ盤の研磨工程
1.荒仕上げ | #400~600の番手の砥石を使い、荒研磨をします。 |
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2.鏡面仕上げ | #600~1200の番手の砥石を使い、鏡面仕上げをします。 加工ワークの回転数を上げることで、目づまりを発生させ、鏡面に仕上げます。 |
超仕上げ盤で使われる砥石
超仕上げでは、砥粒(とりゅう)の細かなやわらかい砥石が使われます。
結合剤(ボンド)には、セラミック系のビトリファイトが用いられます。
WA砥石
硬度や耐熱性が安定した、白色アルミナの砥石です。
鉄鋼のワークに使われます。
GC砥石
非鉄金属で使われる、緑色炭化ケイ素の砥石です。
アルミニウム合金や銅合金などのワークに最適です。
CBNミクロンパウダー
ダイヤモンド結晶に似せた人工物を使った超砥粒です。
ダイヤモンドに次ぐ硬度を誇り、耐摩耗性の高い鏡面仕上げができます。
超仕上げ盤について
Supfina Solutions: Centerless machining
引用元:Supfina Grieshaber GmbH & Co. KG
超仕上げ盤は、「超仕上げ」で使われるNC工作機械です。
オシレーションヘッドで砥石に振動を与えながら、加工ワークの表面を研磨。
大量のクーラント(研削油)をかけながら、低速・低圧力で加工をするため、発熱が少なく、耐摩耗性に優れたキレイな鏡面に仕上がります。
ワークの表面だけでなく、内面や複雑曲面に対応するため、さまざまな専用機があります。
英語では、〔CNC Stone Lapping Machine〕や〔Super Finishing Machine〕と表記されます。
超仕上げ以外の研磨加工
研磨加工には、超仕上げ以外にも、さまざまな種類があります。
砥石や砥粒を使った研磨加工を紹介します。
「ホーニング加工」について解説
「ラップ加工」について解説
「テープ研磨」について解説
「バレル加工」について解説
超仕上げとは?まとめ
この記事では、超仕上げの研磨工程から、研磨で使われる砥石の種類まで、はば広く解説しました。
超仕上げは自動車部品の仕上げ加工にとどまらず、セラッミクス・ガラスなどの仕上げや、「ラップ加工」と組み合わせた超精密研磨にまで、用途が広がっています。
本記事が、日ごろの機械加工のヒントになればうれしいです。