
切削加工と加工不良 – 切削加工で起こる加工不良の原因と対策
- 更新日:
- 2022/09/04 (公開日: 2022/01/22 ) 著者: 甲斐 智
切削加工において、避けて通ることができない加工不良。
加工不良は機械ストップなどの思わぬトラブルにもつながるため、未然に対策する必要がありますが、その原因はさまざま… 工程が複雑化している近年のCNC工作機械では、各工程で加工不良の原因をいかになくしていくかが生産性向上のカギとなっています。
この記事では、AIによる「切削工具異常検知システム」で加工不良の防止に貢献している株式会社MAZINに、切削加工における加工不良の〈原因と対策〉についてお聞きしました。
(本記事は(株)MAZINが提供している「切削加工のお役立ちコラム」から、一部内容をダイジェストでお送りしています)

効率よく対策するためにも、まずは加工不良の原因を知ることからはじめましょう!
切削加工における加工不良の主な原因

切削加工の加工不良の主な原因には、「切粉」「ビビり」「バリ」「チッピング」「構成刃先」があげられます。
これらは「工具で金属を削る」ことから発生するため、マシニングセンタ・CNC旋盤・自動旋盤など、工作機械の種類や加工方法が変わっても、不良発生のメカニズムは変わりません。
〈加工不良の主な原因〉
加工不良と切粉

切粉(きりこ)は切削時に発生する、金属の「切りくず」です。
切削加工に切粉はつきものですが、うまく排出できないと加工不良やチョコ停につながるため、確実に排出する必要があります。
切粉の種類と加工状態
切粉の種類は、パラパラとした粉状のものから長くつながった螺旋状のものまでさまざま。
その形状は加工方法やワークによっても変わるため、「切粉を見ると加工の良し悪しがわかる」といっても過言ではありません。
引用元:切粉について|株式会社MAZIN
一般的な加工では「流れ形」の切粉が理想とされており、切粉の種類によってその加工状態を知ることができます。
切粉の種類と加工状態について解説します…(続きはコラムで)
切粉による加工不良の対策
切粉が原因で起こる加工不良には、以下のケースがあります。
〈切粉による加工不良の例〉
- 工具やワークに切粉が巻きついて製品を傷つける
- ワーク交換時に切粉を噛み込み加工不良が発生
- 穴加工時の切粉詰まりでドリルが折損
切粉の排出にはさまざまなアプローチがありますが、まずは切削工具や切削条件を見直しいかに切粉をコントロールするかが重要です…
加工不良とビビり

ビビりは切削加工中に発生する、断続的な振動です。
ビビりは加工不良だけでなく機械の破損にもつながるため早急な対策がもとめられますが、その原因はさまざまです。
ビビりの種類
ビビりは、その振動源から「強制ビビり」と「自励(じれい)ビビり」の大きく2つに分類されます。
引用元:ビビりの種類|株式会社MAZIN
ビビりの発生は、工作機械の状態や外部環境にも大きく左右されるため、工場全体での対策が必要となる場合もあります。
ビビりの種類と発生過程について解説します…(続きはコラムで)
ビビりによる加工不良の対策
ビビりが原因で起こる加工不良には、以下のケースがあります。
〈ビビりによる加工不良の例〉
- 仕上げ面の劣化
- 工具折損
- 機械の破損
切粉の排出にはさまざまなアプローチがありますが、まずは切削工具や切削条件を見直しいかに切粉をコントロールするかが重要です…
加工不良とチッピング

チッピングは、切削工具の刃先に発生する小さな欠けのことです。
切削加工では必ずといっていいほど発生しますが、例え小さなチッピングでも思わぬ機械ストップにつながるため、早期発見が重要です。
CNC工作機械による省人化ラインでは、チッピングをいかに検出するかが課題となっています。
チッピングによる加工不良の対策策
チッピングが原因で起こる加工不良には、以下のケースがあります。
〈チッピングによる加工不良の例〉
- 仕上げ面の劣化
- 工具折損
加工面が光沢のない梨地のような仕上げになる場合は、チッピングや構成刃先が発生している可能性があります…
加工不良とバリ

バリは切削加工の工程で発生する、金属の「かえり」です。
バリはそのまま放置すると、次工程でのトラブルや怪我の原因となるため、バリの発生を抑えた加工や確実なバリ取りが欠かせません。
バリの種類
バリの正体は、ワークの削り残しや切粉が押し出されるようにして突き出たものです。
切削加工では大きなバリから小さなバリまで、必ず発生するといっても過言ではありません。
引用元:バリの種類|株式会社MAZIN
バリはその発生過程から「ポアソンバリ」と「ロールオーババリ」の大きく2つに分類されます。
バリの種類と発生過程について解説します…(続きはコラムで)
バリによる加工不良の対策
バリが原因で起こる加工不良には、以下のケースがあります。
〈バリによる加工不良の例〉
- 加工精度の低下
- 製品寿命の低下や不良品の流出
- 作業者の怪我
バリは加工不良だけでなく、作業者の怪我や製品故障など深刻なトラブルを引き起こします。
バリの発生原因はワークの材質や形状によってさまざまですが、バリそのものが発生しにくい加工工程にすることが重要です…
加工不良と構成刃先

構成刃先は、切削加工の高い圧力と摩擦熱によって刃先の先端に切粉が溶着してしまう現象です。
溶着した構成刃先は加工硬化しているため非常に硬く、刃先にかわってワークを切削してしまうため、仕上げ面の劣化や刃先のチッピングを引き起こします。
構成刃先による加工不良の対策策
構成刃先が原因で起こる加工不良には、以下のケースがあります。
〈構成刃先による加工不良の例〉
- 仕上げ面の品質低下
- 寸法精度の低下
- 刃先のチッピングや工具寿命の低下
加工硬化しやすい延性材料(軟鋼・黄銅・ステンレス・アルミニウムなど)では、構成刃先が発生しやすくなります…
切削加工と加工不良まとめ
この記事では、AIによる「切削工具異常検知システム」で加工不良の防止に貢献している株式会社MAZINに、切削加工における加工不良についてお聞きしました。
加工不良の対策は現場の工夫だけでなく、加工不良そのものが発生しにくい工程にすることも重要です。
金属材料から工具特性まで幅広い知識を身に付け、対策していきましょう。
株式会社MAZINについて

会社名 | 株式会社MAZIN |
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所在地 | 東京都台東区西浅草3-29-14アメイジングビル3F |
事業内容 | スマート工場システムの研究開発 |
公式サイト | https://www.mazin.tech |