A6063とは?アルミ合金A6063の性質とA6063の押出材について
- 更新日:
- 2023/02/22 (公開日: 2023/02/22 ) 著者: 甲斐 智
A6063は、アルミ合金のなかでもその入手性や加工性の高さから、私たちの生活を支える身近な材料として、さまざまな製品に採用されています。
この記事では、アルミ合金A6063の代表的な性質や用途、A6063の加工性について解説します。
A6063とは
A6063は、6000系のアルミ合金に分類されており、アルミにマグネシウム(0.45%~0.90%)とケイ素(0.20%~0.60%)を主として添加した合金です。
A6063は、A6061と同様に汎用性が高い材料として知られており、産業製品から日用品まで、幅広い分野で採用されています。
Al-Mg-Si系合金(6000系アルミニウム合金):引用元:アルミニウム合金のいろいろ|一般社団法人 日本アルミニウム協会
この合金系は、強度、耐食性とも良好で構造用材として多用されています。アルミサッシに多量に使用されている6063合金および鉄道車両、自動車部材、陸上構造、船舶などに使用されている6N01合金は、押出し加工性にすぐれ複雑な断面形状の形材が得られます。また、少量のCuを添加して構造用鋼材に相当する耐力を有する6061合金など多くの種類があります。
A6063の性質
アルミ合金は、軽量で切削性のよい材料として知られていますが、そのなかでもA6063は、加工性の高さや耐食性に優れています。またA6063は、押出加工性にも優れています。
A6063は耐食性に優れている
A6063は、表面に安定した酸化被膜を形成するため、耐食性に優れています。
耐食性が不十分な場合は「アルマイト処理」も可能です。材料の用途にあわせて、白アルマイト、硬質アルマイト、カラーアルマイトが使い分けられます。
A6063は溶接向きではない
A6063は、酸化被膜を形成しやすいため、溶接時に酸化被膜の浮きや巻き込みが発生し、溶接性が悪化します。酸化被膜を除去してから溶接をすることで改善ができますが、基本的には溶接向きの材料ではありません。
また熱伝導率が高いため、溶接した箇所意外にも熱の影響が出てしまい、強度が低下してしまうことがあります。A6063を溶接する際には、強度を確保するため、ボルト結合が行われることが多くなっています。
A6063とT6処理
A6063も、A6061と同様に「T6処理」を行うことで強度を高めることができますが、A6061にくらべるとその頻度は多くありません。A6061にくらべて、T6処理の過程で行われる「溶体化処理」の温度が低く、「時効硬化処理」の温度は高めという違いがあります。
A6061とおなじ条件でT6処理をしてしまうと、期待した効果が出ない可能性もあるため、材料の性質に合った処理が必要です。
A6063の押出材について
A6063の押出材は、その形状から「ソリッド形状」と「ホロー形状」に分類できます。
ソリッド形状 | 棒材・T型・平角型・H型 |
---|---|
ホロー形状 | パイプ・多穴形状など |
A6063の押出材は、比較的強度が必要とされない箇所に使用されています。
建築用としては、足場の材料や仮設用の資材、看板の枠、安全柵など。また自動車や電機製品では、サンルーフのレールやボディーのパーツ、ラックなどに使われています。
A6063の切削加工性
アルミ合金は、やわらかく被削性の高い材料です。A6063も同様であり、押出加工以外にも少量生産や複雑形状の場合には、切削で加工される場合があります。
しかしA6063を含むアルミ合金は、切削時に材料が溶着しやすく、表面の仕上げ精度低下やバリなど、さまざまな課題が発生します。