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センサ選定のお役立ち|FAで使われるセンサの種類と事例を解説
工作機械のよみもの 寄稿コラム

センサ選定のお役立ち|FAで使われるセンサの種類と事例を解説

更新日:
2025/03/19 (公開日: 2025/03/18 ) 著者: りびぃ|監修: 甲斐 智
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こんにちは、りびぃです。FA(ファクトリーオートメーション)業界で、生産設備の設計をしています!

機械は多数の部品を使って作られておりますが、生産設備に限らず私達が日常で使用する家電製品なども含め、数多くの機械に搭載されている部品があります。その一つが「センサ」です。
センサは機械の「目」の役割をしているものです。周囲の状況を検知して、機械の「脳」の役割をするCPUやPLCへ信号を伝えることによって、状況に応じた挙動や動作を自動的に行わせることができます。

FAセンサについて
センサには多数の種類やシリーズがありますが、その中からどのセンサを採用するかを決めるのが機械設計の仕事のひとつ。
その際、何を?どのような方法で?などといった項目をしっかりと定め、目的に応じて適切な種類のセンサを選定・配置していくことが求められます。

昨今はセンサの種類や各センサのシリーズが膨大であることもあり「一体何がどう違うのか?どのような場面で使用すればいいのか?」がわからず、カタログを眺めていたら一日の業務が終わってしまった…なんていうご経験はないでしょうか?
また、周りの先輩や上司に聞きたくとも、聞くタイミングがなかなか掴めなかったりして、結局は「よくわからないけれど、過去の図面で使われていたやつと似たものを選べばいいや…」で済ませてしまっていないでしょうか?

FAセンサについて|FAで使われるセンサの種類と選定

センサは「似て非なるもの」のようなものが多いのですが、もし目的とセンサの仕様とがマッチしていなかった場合、機械が安定して稼働せず頻繁にエラーで止まってしまったり(チョコ停)、誤検知をして機械が想定外の動作をするようになってしまうという事態になってしまいます。
機械が正常に動作しないとなると、機械を使用するお客様としては当然クレームをいれるような対応をすることになるため、お客様の信頼を失うなんてことになってしまいますよね。

FAセンサについて
今回では、正しくセンサを選定できるようになるための第一歩として、FA業界でよく使われるセンサの種類や活用事例についてわかりやすく解説をしていきます。
みなさんの設計業務が捗り、そしてベテラン設計者へ一歩近づくためにぜひご参考にしてください。
◎本コラムは、技術系ブロガーりびぃがお送りする連載コラムです

光電センサの特徴

FAセンサについて|光電センサの特徴

光電センサとは、物体の有無や位置を光を使って検出するセンサです。
光源から発せられる光(主に赤外線光)が受光部に入るまでの間で、物体によって光が遮断されたり、光が反射されたりすることで、物体の有無や位置を検知することができます。
非接触で検知が可能なので、検出対象を傷つけたり、センサを破損させるリスクが低く、非常に扱いやすいセンサです。こういったことから、多くの機械で採用されているセンサでもあります。

FAセンサについて|光電センサには更にいくつかの種類があり、それぞれ検出可能距離や検出可能な対象物・用途等が変わってきますので、皆さんの設計条件にあうものを選択するようにしてください。
光電センサには更にいくつかの種類があり、それぞれ検出可能距離や検出可能な対象物・用途等が変わってきますので、皆さんの設計条件にあうものを選択するようにしてください。

事例.1 ステージ上のワーク有無を確認

FAセンサについて|ステージ上のワーク有無を確認

作業者がステージにワークを置いた後に、次の動作を開始したい場合などに有効です。
「ワークがある」⇒信号レベルが変わることで、PLCはその条件を元に次の処理や動作を進めます。
例えば、以下のような処理があげられます。

〈処理の流れ〉

  • ワークが検知している状態でスイッチを押したら、ロボットにワークを取りに行くよう指令を出す
  • ワークを検知したら、エアシリンダを使ってワークを位置決めする

事例.2 通過したワークをカウント

FAセンサについて|通過したワークをカウント

有無検知を通じて、ワークの通過数を確認する場合に適用できます。
PLCへは単純にセンサのON・OFFの信号を入力できるだけではなく、「センサがOFFからONした瞬間を検知する」「センサがONからOFFした瞬間を検知する」というように「センサの状態を検知する」という機能があります。これを使えば、以下のような動作をさせることができます。

〈処理の流れ〉

  • コンベア上で通過したワークを検知したら、生産数カウンタを+1する
  • 生産数カウンタが10になったら、機械を一度停止させ、ワークを機器外へ払い出す

事例.3 ワークの投入向き違いや品種違いを検知

FAセンサについて|ワークの投入向き違いや品種違いを検知

ワークを機械に投入する際、ワークの投入向きを間違えてしまうとその後の工程に悪影響が出る場合があります。あるいは一つの生産ラインで複数の品種を生産する場合、品種Aの生産モードになっているにも関わらず、品種Bが紛れてしまう場合などがあり、これもその後の工程に悪影響が出る場合があります。このようなポカミスを防ぐ目的でも、光電センサを活用させることができます。

例えば、凹形状のワークと凸形状のワークがあったときに、それぞれの形状の特徴に合わせて光電センサを配置することで、以下を自動で検知し、PLCへ信号を返すことができます。

〈検知内容〉

  • 適切な姿勢で投入れているか
  • 適切な品種が投入されているか

ファイバセンサの特徴

FAセンサについて|ファイバセンサの特徴

ファイバセンサとは、光ファイバを利用して光を対象物に投光、またはその反射光を受光することで、対象物の有無や位置、形状を検出するセンサです。基本的な機能は光電センサと同じはあるものの狭い場所でも設置が容易であるため、小型の対象物や微小な動きを検出するのに特に適しています。

FAセンサについて|光電センサに比べてノイズの影響を受けにくいことや、センサヘッドに電子部品がないため比較的高温の環境でも動作させられるという特徴もあります。
光電センサに比べてノイズの影響を受けにくいことや、センサヘッドに電子部品がないため比較的高温の環境でも動作させられるという特徴もあります。

事例.1 厚みが1mmのワークを側面から検知

FAセンサについて|厚みが1mmのワークを側面から検知

コンベヤ上を流れるワークを検知したいものの、ワークが薄い場合には一般的な光電センサでは検知させるのが困難です。
一方でファイバセンサの場合には光の径(スポット径」が細いので、薄いワークに対してもしっかりと光軸を合わせることが可能になります。

事例.2 狭いスペースにセンサを設置

FAセンサについて|狭いスペースにセンサを設置

ファイバセンサには、センサヘッドが直径わずか数mmほどに細いものがあります。そのため非常に狭いスペースしかなくともセンサを取り付けることが可能です。このような場所へのセンサ配置は、センサヘッドが比較的大きい光電センサでは困難です。
ただしファイバセンサに使われる光ファイバは、ガラスやプラスチックからできており、曲げや折れなどには非常に弱いので配線ルートの設計や配線の施工時には注意しましょう。

レーザーセンサの特徴

FAセンサについて|レーザーセンサの特徴

レーザーセンサも光電センサやファイバセンサと同様に光を使って検知をするのに使用するセンサです。これらの違いは、光電センサやファイバセンサは光源にLEDを採用していることに対して、レーザーセンサは名前の通りレーザーを光源としている点にあります。

〈レーザーが使用されていることで、以下のような特徴があります〉

  • スポット径が小さく、ファイバセンサと同じように狭い隙間や極小箇所へ適用できる
  • レーザー光で直進性があり出力も強いため、長距離間でも使用できる
  • 距離を測定できるため、微小な段差の違いなどを検知することもできる
  • 金属・プラスチック・ゴムなど、材質によらず採用しやすい
FAセンサについて|その一方でレーザーセンサは光電センサなどと比べるとコストは上がります。必要性や運用上のリスクも考慮した上で選定するといいでしょう。
その一方でレーザーセンサは光電センサなどと比べるとコストは上がります。必要性や運用上のリスクも考慮した上で選定するといいでしょう。

なお、変位センサ・測長センサと呼ばれるものも同じくレーザーが使われていますが、これらは有無検知ではなく高さや厚みを計測することが主目的です。
原理は同じものの、目的や機能も異なるため混同しないようにしましょう。

事例.1 薄物ワークの2枚取り検知

FAセンサについて|薄物ワークの2枚取り検知

例えば何枚も積み重ねられたコピー用紙から一枚だけを取り出して機器に送り込む機構を考える際、何回かに1回は二枚重なった状態で取り出してしまうことがあるかもしれません。コピー用紙同士が静電気等でくっつくなどするためです。
これを自動で検知する際に、例えばワーク1枚あたりの厚さをPLCに登録しておくことで、仮にレーザーセンサによって測定された値が明らかにワーク1枚の厚さを超えるようであれば、2枚重なってしまっていると判定させることが可能です。

事例.2 電子基板上の段差を検知する

FAセンサについて|電子基板上の段差を検知する

例えば電子基板上に部品が適切に取付けられているか(部品が取れていたり、浮いたりしていないか)を確認するのにレーザーセンサを活用することができます。
さらに、ワークをコンベヤ等で搬送させながら連続的に距離測定をすることで、ライン方向に連続した測定データを得ることもできます。

カラーセンサの特徴

FAセンサについて|カラーセンサの特徴

カラーセンサは光電センサの一種ではありますが、一般的な光電センサとは違って「色の違いを検知する」ことに特化したセンサです。
センサから光を対象物へ照射し、反射した光を受光して判定をするわけですが、この受光した光は光の三原色で習ったように、赤(R)、緑(G)、青(B)がそれぞれどの程度の割合含まれているかで数値化することができます。このように色を数値化することによって対象物が何色であるかを判定することができるのです。
カラーセンサを使うことで、仮にワークの形状に変化がなくとも、色の違いさえあれば検出することが可能です。さらにはワークの表面条件や距離のバラツキで受光量が変動した場合にも、色の違いによって検知することが可能なのです。

FAセンサについて|ただし、光電センサやその他のセンサと比べると、スポット径が大きく応答性は低い傾向があるため、採用前に使用条件を満たすかの確認は必要です。
ただし、光電センサやその他のセンサと比べると、スポット径が大きく応答性は低い傾向があるため、採用前に使用条件を満たすかの確認は必要です。

事例 機械油の付着の有無を検知

FAセンサについて|機械油の付着の有無を検知

紙シートのようなワークをコンベヤで搬送させながら、ワーク上に機械油(茶色)が付着していることを検知する目的でカラーセンサを使用します。仮に茶色が検出されれば、それを異常として判定し、異常ワークを機器外部へ排出するなどします。
このような装置においては、コンベヤベルトの色は、検出させたいものの色と見分けがつくようなものを採用するようにします。

近接センサの特徴

FAセンサについて|近接センサの特徴

近接センサは主に電磁誘導方式を用いて、金属製の検出対象が接近したことを非接触で検出するセンサです。応答速度が高く、粉塵や汚れのある環境にも適用できることから、こちらも幅広い機器で使用されています。
ただし、検出対象は金属に限定される点には注意が必要です。もし検出対象が用意できない場合は、検出用の金属板(ドグ)を取付け、それを近接センサで検知させられるかを検知するのが良いでしょう。

FAセンサについて|また、近接センサの検出可能距離は数mm程度しかないので、採用の際には近接センサの取り付け位置やドグの形状などを工夫するようにしましょう。
また、近接センサの検出可能距離は数mm程度しかないので、採用の際には近接センサの取り付け位置やドグの形状などを工夫するようにしましょう。

事例 装置起動のインタロック

FAセンサについて|装置起動のインタロック

例えば装置を稼働させる前に、安全のために装置の一部を固定するレバーでロックをするという機構があるとします。しかし、単に取扱説明書に「ロックをしてから使用してください」と記載したところで、装置を扱うのが人間である以上、どうしてもポカミスをしてしまうことがあります。
そこで近接センサでレバーの金属の部分を検知させることによって「近接センサがONした=レバーがロックされている状態」として使用することができるようになります。
そしてPLCのプログラムで「近接センサがONしている状態でないと起動スイッチを押しても起動しない」というインタロックを組むようにすれば、安全に装置を使用することができます。

オートスイッチの特徴

FAセンサについて|オートスイッチの特徴

オートスイッチは主に空圧シリンダまたは油圧シリンダに使われるセンサのことで、シリンダのロッドの位置を検知するのに使用されます。
特別な事情がない限りは「無接点オートスイッチ」を使うことが一般的で、シリンダのロッド部に内蔵されているマグネットを検知することでロッドの位置を検知することができます。
オートスイッチはロッドの押し側、引き側それぞれのストローク端部に取り付けることが多いですが場合によっては3個以上を取り付けることもあります。

事例 ワークが来たらシリンダで位置決め

FAセンサについて|ワークが来たらシリンダで位置決め

例えばシリンダに位置決めピンを取り付けておき、ワークが特定の位置に搬送されてきたらシリンダで位置決めピンをワークに差し込むという動作をさせることができます。
ワークの有無は光電センサなどを使って検知するようにしますが、その後シリンダを動作させたときに「位置決めピンが差し込まれたか」をオートスイッチで検知するようにします。
シリンダロッドを押し側に移動するよう指令を出したときに、押し側の端部のオートスイッチが検知すれば位置決めピンの挿入に成功したと判定できます。

FAセンサについて|一方でいくら待っても押し側の端部のオートスイッチが検知しないとなれば、以下の原因究明をしていくようにします。
一方でいくら待っても押し側の端部のオートスイッチが検知しないとなれば、以下の原因究明をしていくようにします。
  • エアー圧が十分供給されていない
  • ピン穴と位置決めピンの位置や径が合っておらず挿入に失敗している
  • オートスイッチが故障している

画像センサの特徴

FAセンサについて|画像センサの特徴

画像センサは対象物をカメラで撮像し、画像から計測値やOK/NGの判定結果を取得するために使われるセンサです。
他のセンサは特定の点や線でしか情報を取得することができないので、検知したい箇所が複数ある場合にはそれに応じてセンサの数を増やさなければなりません。これに対し、画像センサは一つでその面での情報を一挙に取得することができるため、活用の幅が一気に広がります。

画像センサの用途例

FAセンサについて|画像センサの用途例

画像センサは、特に検査工程で頻繁に使われている印象があり、以下のように適用の自由度が高く、幅広い用途に応用させることができます。

  • 長さ、幅の計測やワークの位置情報取得
  • マークやロゴの有無検出
  • 複数個所の部品有無検出
  • ワークの数をカウント
  • 形状判定
  • 汚れの検査
  • バーコードや文字の読み取り

画像センサ導入に必要なスキル

画像センサを実際に選定し、導入するためには、以下のようなスキルが必要になってきます。

  • 画像センサそのものの知識の理解と選定スキル
  • レンズや照明などの知識の理解と選定スキル
  • 画像センサの設定

いくつか例をあげると、例えば画像センサのスペックの一つである「画素」については、多きものを選定するほどより広範囲または高精細な画像を取得することができるので、ワーク上の小さな刻印なども判別することができます。ただし逆に画素が大きくなるほど、画像センサが処理する時間が長くなり、タクトタイムを満たせなく懸念があったり、単純に価格も高くなります。

画像センサの焦点距離とスペック

続いてレンズのスペックの一つである「焦点距離」ですが、焦点距離が短いレンズを使うと広範囲の画像を取得することができるようになります。 その反面、以下のようなトレードオフが発生します。

  • 画像端にひずみが発生しやすくなる
  • 画像センサの画素が低いまま画角を広くしてしまうと、取得された画像の解像度が落ちる
  • ピントが合いづらくなるため、ワークに凹凸がある場合は一部がボケけてしまう懸念がある

このように、ワーク、画像センサ、レンズ、照明などの関係性を考慮しながら一つ一つ選定したり、それに合わせてセンサの配置や適切な撮影環境を設計していく必要があるので慣れていない方は結構苦戦するかと思います。

FAセンサについて|最初のうちは画像センサメーカーへ相談をしつつ、場合によってはデモ機でテストをさせてもらうなどすることを推奨します。
最初のうちは画像センサメーカーへ相談をしつつ、場合によってはデモ機でテストをさせてもらうなどすることを推奨します。

事例.1 ワークに貼り付けたラベルを確認

FAセンサについて|ワークに貼り付けたラベルを確認

例えばボトルへ貼り付けたラベルについて、印字のズレや汚れ等がないかを画像センサを使って検査し、NG品があれば排出させるなどの動作をさせることができます。
最近ではAI技術を組み合わせた画像センサも販売されてきています。事前に何パターンかのNG事例を登録させることで、OK/NGの判定が曖昧なものについても自動的に判定させることができます。

事例.2 バラ積みされた部品を取り出す

FAセンサについて|バラ積みされた部品を取り出す

産業用ロボットを使って部品を取り出す際、パレット等に整列された状態ではなく、箱などにバラ積みされた状態の部品から取り出すためには、画像センサを採用するのがおすすめです。
こちらもよくAIの技術が使われており、「散らかった状態の部品を上から撮影し、その画像の中から部品一つ一つを判定し、さらにその中から取り出す部品を決定、そしてその部品に合わせてロボットがうまく掴めるよう動作指令を与える」といったことができるようになってきています。

おわりに

このように、FA業界で使用されるセンサには多くの種類があり、それぞれの特性を理解し、用途に応じた選定が求められます。適切なセンサを選ぶことで、機械の精度や生産性が向上し、安定した稼働が実現します。
設計業務においては、単にカタログのスペックを見るだけでなく、現場での使用条件や制約を考慮しながら選定することが重要です。本コラムがセンサ選びの一助となれば幸いです。

りびぃコラム

この記事の執筆者プロフィール

りびぃ
りびぃ

ものづくりのススメ」サイト運営者。
2015年、大手設備メーカーの機械設計職に従事。2020年にベンチャーの設備メーカーで機械設計職に従事するとともに、同年から副業として機械設計のための学習ブログ「ものづくりのススメ」をスタートさせる。2022年から機械設計会社で設計職を担当している。


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この記事の著者・監修者

甲斐 智
甲斐 智(Satoshi Kai)

1979年 神戸生まれ、多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーに入社。
2020年に株式会社モノトを設立。長年に渡り工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる。
researchmap ID:R000028669
J-GLOBAL ID 202101006017437323

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