
医療業界における業務用3Dプリンタ活用事例とアプリケーション
- 更新日:
- 2025/02/07 (公開日: 2022/04/07 ) 著者: 甲斐 智
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- 付加加工| 超精密3Dプリンター|
工業製品の試作からモデリングまで、製品開発の現場で使われている「業務用3Dプリンタ」。その用途は製造業にとどまらず、建築や食品などさまざまな業界に広がっていますが、なかでも注目が集まっているのが医療分野です。
医療業界では、体内に埋め込まれるステントや臓器モデルによる手術支援など、すでに一部の領域で3Dプリンタの活用がはじまっています。
この記事では、ミクロンオーダーの光造形で業界をリードするBMF社(BMF, Boston Micro Fabrication)に、医療業界における3Dプリンタの活用事例と、同社の3Dプリンタによる医療部品のアプリケーションについてお聞きしました。

医療業界における3Dプリンタの活用事例

医療業界に革命をもたらすと言われている3Dプリンタ。医療部品の造形だけでなく、細胞による3Dバイオプリトなど先端医療での実用化も進んでいます。
医療業界での3Dプリンタの活用事例をご紹介します。(BMF製3Dプリンタの以外の活用事例にも視野を広げ紹介しています)
3Dプリンタ × 医療部品(医療業界)

医療の進化によってますます小型化する医療機器。その医療機器の精密部品として、近年増加しているのが3Dプリンタによる造形部品です。
一般的に3Dプリンタによる造形部品は量産が難しく、コストが高いことがネックですが、患者ひとりひとりに合わせたカスマイズが求められる医療機器では、少ない製造ロットでも採算がとれることが多く、相性の良い分野と言えます。
(BMFでは、内視鏡部品の精密3Dプリントに実績があります)
3Dプリンタ × インプラント(医療業界)

人体に埋め込む人工関節やステント(管を拡張するチューブ器具)など、インプラントにも3Dプリンタが活用されています。患者ごとに形状が異なるインプラントをオーダーメイドで3Dプリントすることで、症状に合わせた再生医療が可能です。
プリント材質には、骨とおなじ成分からなるカルシウムなどの生体適合材料だけでなく、薬剤溶出ステントなどの生体吸収性材料も使われつつあります。
(BMFでは、心臓血管ステントの精密3Dプリントに実績があります)
3Dプリンタ × 臓器モデル(医療業界)

CTやMRIなどのイメージデータをもとに、高精細な臓器モデルを3Dプリントすることで、複雑な手術のシミュレーションが可能に。手術時間を短縮し、再手術や再切開などのリスクも減らすことができます。
また本物に近い質感を再現したり、一部に透明樹脂を使い血管構造をスケルトン化にすることで、手術トレーニングでの活用も期待されています。
3Dプリンタ × 義肢(医療業界)

義手や義足など、義肢の分野でも3Dプリンタが活用されています。
3Dプリンタを使うことで、ユーザーひとりひとりの細かなフィッティングはもちろん、デザインのオーダーメイドにも応えることができます。
これらの器具には一品一様の部品が使われることも多く、3Dプリンタとの相性が良い分野のひとつです。
機能性を追求しながらも、よりコストを抑えるためさまざまなが研究開発が進んでいます。
3Dプリンタ × バイオプリンティング(医療業界)

医療部品やインプラントだけでなく、生きた細胞を3Dプリントする「3Dバイオプリンティング」の臨床試験もはじまっています。
3Dバイオプリンティングの技術を使うことで、心臓をはじめとした人工臓器の造形や、皮膚移植で使われる人工皮膚などのスキンプリントも可能になります。
BMFの医療部品アプリケーション

BMFの超精密3Dプリンタは、超高解像度・高精度を実現するマイクロナノ光造形(PµSL)技術。内視鏡部品をはじめ人体に埋め込まれるステントなど、医療部品の3Dプリントに実績があります。

試験造形の段階ではありますが、セラミックスの3Dプリントによって、より高い安定性が求められる医療機器・分析装置などの医療部品での活用が期待されています。
内視鏡ハウジング

内視鏡ハウジングは、内視鏡カメラをカバーするための精密部品です。
内視鏡では患者の痛みや不快感を軽減するため、小型化が進んでいます。BMFの超精密3Dプリンタによって内視鏡のさらなる小型が実現。凹凸が組み合わさる複雑な構造体を、結合なしで一度に造形することができます。
内視鏡ハウジング.1
シリーズ | microArch®S140 |
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サイズ | 9.8mm×9.8mm×13.8mm |
解像度 | 10µm |
チューブ径 | 1.2mm |
公差 | ±0.025mm |
最小壁厚 | 65μm |
内視鏡ハウジング.2
シリーズ | microArch®S140 |
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サイズ | 長さ4mm |
解像度 | 10µm |
チューブ径 | 1.2mm |
公差 | ±0.025mm |
最小壁厚 | 65μm |
ステント

ステントは、血管などの管状部分を内部から拡げ、血流や血圧を改善する医療器具です。
ステントの多くは金属でできていますが、BMFの超精密3Dプリンタによって、生体適合性を備えた柔軟なステントの造形が実現しました。
心臓血管ステント
シリーズ | microArch®S140 |
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サイズ | 15.44mm×3.42mm |
解像度 | 10µm |
公差 | ±0.025mm |
注射針(シリンジニードル)

使い捨てが一般的な樹脂製の注射針。手術によってさまざまな先端形状の注射針が使われますが、BMFの超精密3Dプリンタによって、複雑な注射針の一体造形が実現しました。
スパイラルシリンジニードル(内視鏡下手術用)
シリーズ | microArch®S140 |
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サイズ | 12.5mm×12.7mm×10.35mm |
解像度 | 10µm |
公差 | ±0.025mm |
医療業界の3Dプリンタ活用事例とアプリケーションまとめ
この記事ではミクロンオーダーの光造形で業界をリードするBMFに、医療業界における3Dプリンタの活用事例と、同社の3Dプリンタによる医療部品のアプリケーションについてお聞きしました。
3Dプリンタを活用したさまざまな取り組みがはじまるなか、患者ごとにカスタムメイドされた医療部品の造形が、これからの医療業界のカギとなりそうです。
ミクロンオーダーの高精度・高解像度3Dプリントにご興味がある方は、BMFまでお気軽にお問い合わせください。
BMF Japan株式会社について

会社名 | BMF Japan株式会社 |
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所在地 | 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4-4-3 喜助日本橋ビル5F Nano Park |
設立 | 2019年10月01日 |
事業内容 | 3Dプリンターの製造、販売 3Dプリンターによる造形モデルの製作(試作)、販売 |
公式サイト | https://www.bmf3d.co.jp |