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〈JIMTOF2022〉最新加工機にみる省エネ・SDGsの提案製品|vol.3

〈JIMTOF2022〉最新加工機にみる省エネ・SDGsの提案製品|vol.3

更新日:
2024/01/10 (公開日: 2022/11/11 ) 著者: 甲斐 智
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多様化する工作機械。工作機械のコアとなる機械技術は「切削」「研削」「研磨」といった加工技術だけでなく、切削工具やツーリング・切削油・CAD/CAM・センサなどからなる総合技術です。
この記事では、2022年11月8~13日まで6日間に渡り開催されたJIMTOF2022[第31回日本国際工作機械見本市]の会場レポートを、5つのテーマに分けてお届けします。

Vol.3ではJIMTOFの会場で取材した、省エネ・SDGsに対応する最新加工機をご紹介します。

〈JIMTOF2022 レポート一覧〉

金属加工とSDGs

JIMTOF2022レポートについて|金属加工・加工機とSDGs

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年国連サミットで採択された、持続可能な世界を実現するための国際目標です。17の目標と169のターゲットから構成され、150を超える加盟国首脳の参加のもと発展途上国・先進国がともに取り組み「地球上の誰一人として取り残さない世界(leave no one behind)」を実現することを誓っています。

SDGsに取り組む中小企業等の先進事例:
SDGs(Sustainable Development Goals)は、経済面、社会面、環境面の幅広い課題の統合的な解決を目指すものであり、持続的な社会の実現のために、民間セクターの積極的な関与が期待されています。
企業活動においても、経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得するためのツールとしてSDGsの活用が注目を集めています。
引用元:METI 経済産業省関東経済産業局

製造業におけるSDGsの取り組みには、社会課題の解決から人材活用までさまざまなテーマがありますが、なかでも手軽に取り組めるのが、SDGsに配慮した加工機や周辺機器の導入です。
省エネ・カーボンニュートラル(CO2排出削減)に対応した加工機を使って製造を行うことで、SDGsの取り組みに参加することができるのです。

JIMTOF2022レポートについて|JIMTOFでは多くの加工機メーカーが、省エネ・SDGsの提案製品を発表しています
JIMTOFでは多くの加工機メーカーが、省エネ・SDGsの提案製品を発表しています。JIMTOFにて取材をした省エネ・SDGsを実現する最新の加工機・周辺機器をご紹介します。
JIMTOFとは?
JIMTOF2022レポートについて|JIMTOFとは?

JIMTOF(ジムトフ)は、2年に一度開催される、工作機の国際展示会です。世界四大工作機械見本市に数えられ、最新の工作機械技術が世界中から集結。第31回を迎える2022年は、過去最高の1000社以上もの企業が出展し、6日間の総来場者数は 114,158名 にのぼりました。
→JIMTOFについて詳しく解説

省エネ・SDGsに対応したソリューション

工作機械やプレスなどの加工機では、動作電源だけではなく、待機電源や圧縮エア・油圧ポンプ・動作オイルなど、さまざまなエネルギーを大量消費します。そのため、加工効率の向上はもちろんのこと、いかに環境に配慮し省エネ化するかが課題となっています。

切削工具の廃棄を削減

JIMTOF2022レポートについて|切削工具の廃棄を削減

THK株式会社では、製造業向けIoTサービス「OMNIedge」を展示。OMNIedgeは、リニアガイドやボールねじなど、要素部品の故障の予兆を検知するソリューションだが、今回新たに発表されたのが、切削工具の「工具監視AIソリューション」だ。
近年、切削工具の価格が上がるなか、工具の長寿命化が大きな課題となっている。工具監視AIソリューションでは、切削工具の欠損やチッピングの見える化だけでなく、摩耗度のモニタリングによって工具寿命を最適化することができる。工具の長寿命化は工具廃棄の削減につながり、SDGs達成に貢献する。

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THK株式会社
出展ブースW2020

消費電力のムダを見える化

JIMTOF2022レポートについて|消費電力のムダを見える化

株式会社ジェイテクトとJTEKTグループでは、工場全体のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みモデルを紹介。ユーザーの課題に応じた、さまざまなソリューションを提案する。
会場では、別ブースで稼働中の同社の工作機械をモニタリング。稼働率や切削効率をリアルタイムで監視し、消費電力のムダを見える化する。
ジェイテクトでは、研削・切削に関するあらゆるお悩みを解決する「なんでも相談室」を開設。カーボンニュートラルに関する相談も可能だ。稼働率向上のソリューションを通じて、エネルギーコストの削減ニーズに応える。

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株式会社ジェイテクト

動力源を油圧から電動へ

JIMTOF2022レポートについて|動力源を油圧から電動へ
電動サーボベンディングマシン|EGB-eシリーズ

株式会社アマダでは、「未来につながるエンジニアリング ~アマダが変わる、進化する~」をテーマに、最新板金加工マシンによる自動化を提案。なかでもSDGsへの提案として注目なのが、電動サーボベンディングマシン「EGB-eシリーズ」だ。
これまで油圧式が多かったベンディングマシンだが、環境配慮の観点から、動力源の見直しが求められていた。同社のEGB-eシリーズでは、油圧と同等の高圧力を電動サーボモータで実現。人と地球にやさしいハイエンドマシンとして、ユーザーのニーズに応える。

(メーカーさまの許可を得て撮影しています)
株式会社アマダ

熱エネルギーを再利用

JIMTOF2022レポートについて|熱エネルギーを再利用
CNC2スピンドル2スライド精密旋盤|XWG-3

高松機械工業株式会社では、カーボンニュートラルに貢献する新たな生産スタイルを提案。高い生産性を誇る2スピンドル精密旋盤「XW-30plus」をモデルチェンジし、部品点数の大幅削減と高い省エネ性能で、カーボンニュートラルに対応した。
モデルチェンジした「XWG-3」では、電源回生方式を採用し、これまで熱として放出していたエネルギーを電力として再利用する。スライド動作の高速化と、ローディングタイムの短縮によるさらなる高速化も相まって、高い省エネ性能を発揮する。

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高松機械工業株式会社
出展ブースE5025


金型・工具の長寿命化

JIMTOF2022レポートについて|金型・工具の長寿命化

テクノコート株式会社では、放電加工の原理を応用したコーティング・肉盛装置「Depo(デポ)シリーズ」をフルモデルチェンジ。新型では、従来機の1.5倍の処理能力で、現場の肉盛補修のニーズに応える。
デポシリーズでは、歪みやヒケなどの熱影響を与えることなく、ワークのコーティング・肉盛溶接が可能だ。金型・工具の補修で廃棄を減らすだけでなく、コーティングによる表面改質によって長寿命化を実現し、資源の有効活用ニーズに応える。

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テクノコート株式会社
出展ブースE6031

省エネルギーでクランプ

JIMTOF2022レポートについて|省エネルギーでクランプ

株式会社コスメックでは、「自動化・省エネ・圧力保持」をテーマに、さまざまな設備の段取り替えを自動化する周辺機器を提案。なかでも注目なのが、カーボンニュートラルに貢献する「スマートジグ」だ。
従来工作機械の自動化で使われるジグは、油圧や空圧が主流だった。スマートジグでは、主軸やロボットを活用しジグ内部の油圧を上昇させ、ワークをクランプする。
外部からの動力源が不要で、エア消費もないため省エネに貢献する。配線レスなので、ロボットによる搬送にも最適だ。

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株式会社コスメック
出展ブースW2014

JIMTOF2022 省エネ・SDGsの提案製品まとめ

ここでは、JIMTOF2022にて取材をした、省エネ・SDGsの提案製品をご紹介しました。
SDGsへの取り組みは、企業イメージの向上だけでなく、金融機関からの借り入れや投資優遇につなげることができます。また取引先によっては、サプライチェーン全体でSDGsに取り組んでいる企業もあり、その要請に応えることで、受注機会も逃しません。
今後の加工機・周辺機器のさらなるSDGs提案に注目です。
(製品の最新情報については、必ず各メーカーの公式サイトよりご確認ください)

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この記事の編集者・プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」参加企業

2020年に「はじめの工作機械」を立ち上げ(はじめの工作機械とは

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