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テープ研磨とは?フィルムを使ったテープ研磨と研磨加工を解説

テープ研磨とは?フィルムを使ったテープ研磨と研磨加工を解説

更新日:
2022/08/31 (公開日: 2020/09/04 ) 著者: 甲斐 智
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工作機械研磨除去加工
     

テープ研磨は、「フィルム」を加工ワークに押し付けて、精密に磨き上げる「除去加工」のひとつ。

自動車のシャフトや、電子部品の表面仕上げなど、 高い精度がもとめられる精密部品の表面仕上げ で使われています。

この記事では、テープ研磨の特徴やフィルムについて、かんたんに解説しています。

テープ研磨について|テープ研磨は作業者の熟練がなくても、精度の高い研磨加工が実現します!
テープ研磨は作業者の熟練がなくても、精度の高い研磨加工が実現します!

テープ研磨ってどんな加工?

テープ研磨は、砥粒を塗布したテープ(フィルム)を加工ワークに押し付けて、精密に研磨する加工方法です。形状の加工ではなく、磨きによる表面粗さの仕上げや、コントロールが目的となります。

テープ研磨について|テープ研磨ってどんな加工?

粒度の細かいテープや粗いテープなどのフィルムを交換することで、鏡面仕上げや荒仕上げなど、目的の表面粗さに調整することができます。

テープ研磨には専用の「テープ研磨機」や、NC研削盤・各種工作機械に取り付けられる「テープ研磨ユニット」などが使われます。

テープ研磨とは:
ラッピングテープによる研磨加工は,加工領域に連続的に新品テープを供給しつつ,加圧ローラで押し付けながら,相対運動させる仕上げ加工である.
引用元: 社団法人 砥粒加工学会「超音波振動によるラッピングテープの研磨特性の再生」

テープ研磨でつかわれるフィルム

テープ研磨について|テープ研磨でつかわれるフィルム
研磨フィルムMAXIMA
引用元:Mipox Corporation

テープは厚さ数ミクロンのポリエステル製などのフィルムで、その上に0.1ミクロン~の砥粒が均一に塗布されています。
砥粒には、アルミナダイヤモンドなどが目的によって使い分けられます。

テープを送りながら、常に新しいテープ面で研磨するため、目詰まりがなく(ドレッシングも不要)、なめらかな表面が得られます。

一回あたりの研磨量がすくないため、加工条件によっては、加工時間がかかります。

テープ研磨はどこで使われる?

テープ研磨について|テープ研磨はどこで使われる?

テープ研磨は、自動車のクランクシャフトやカムシャフトなど、高い精度がもとめられる精密部品の仕上げに使われています。

また、ホーニング加工ラップ加工と違い、加工液を使わない「乾式」の加工もできるため、IT電子部品などクリーン環境下での最終研磨工程にも採用されています。

テープ研磨以外の研磨加工

研磨加工には、テープ研磨以外にもさまざまな種類があります。
砥石や砥粒を使った研磨加工を、いくつかご紹介します。

バフ研磨

テープ研磨について|バフ研磨

研磨剤やコンパウンドを塗布したバフ(やわらかい布状の円盤)を回転させ、ワークに押し付ける研磨方法です。

かんたんなバリ取りや磨きの仕上げ作業で使われ、 生産現場では産業用ロボットによる自動化も行われています。

ベルトサンダー

テープ研磨について|ベルトサンダー

研磨面が常におなじため、精度は高くありません。
ヤスリがけに近い方法で、粗い研磨で使われます。

その他の研磨加工

ホーニング加工
回転工具を往復運動させ、加工ワークの内面を研磨
「ホーニング加工」について解説
ラップ加工
ラップ剤をこすりあわせて、ワークの表面を研磨
「ラップ加工」について解説
超仕上げ
砥石を小さく振動させながら、ワークの表面を鏡面研磨
「超仕上げ」について解説
バレル加工
プレスや切削加工でできたバリを、回転させながら除去
「バレル加工」について解説

テープ研磨とは?まとめ

この記事では、普段あまり見かけることのないテープ研磨の特徴を解説しました。

テープ研磨では、作業者の熟練がなくても、精度の高い研磨加工が実現。
また自動化もしやすく、かんたんに表面荒さの管理ができることも魅力です。

本記事が、日頃の機械加工のヒントになればうれしいです。

〈テープ研磨の関連キーワード〉

工作機械 研磨 除去加工

この記事の編集者・プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」参加企業

2020年に「はじめの工作機械」を立ち上げ(はじめの工作機械とは

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