ベアリングの種類と特徴を徹底解説|FA業界での活用ポイント
- 更新日:
- 2025/10/15 (公開日: 2025/05/27 ) 著者: りびぃ|監修: 甲斐 智
こんにちは、りびぃです。FA(ファクトリーオートメーション)業界で、生産設備の設計をしています!
生産設備を設計するために機械設計の人はCADを使って設計をしていくわけですが、そのようにしてCADで設計する上で、その部品や機械の特徴によって大きく2種類の設計に分けることができます。それが「構造設計」と「機構設計」です。
構造設計とは機械の土台やフレームの役割をする箇所で、安定性や剛性などを考えながら設計をしていくような内容です。その一方で機構設計とは「部品同士を互いに連動させて、特定の動きを具現化する設計」のことをいいます。
この機構設計において、ほぼ必須となる部品があります。それが「ベアリング」です。
ベアリングは、機構の「固定部」と「動作部」との間に配置され、動作部による摩擦を低減しつつ、動作部の荷重を受けたり、動作部が適切な挙動をするようにガイドするという役割があります。
身近なところでも、自転車の車輪・エレベータの昇降部、机の引出しの金具などにも使用されており、あらゆる機構で使用されています。
今回は、FA業界でよく使われるベアリング種類や特徴について、事例を交えながらわかりやすく解説をしていきます。
回転運動を受けるベアリングとは

ここでは回転運動を受けるベアリングについていくつか紹介をしていきます。
このベアリングは回転運動をするシャフトと回転運動しないハウジングとを支持する役割を果たします。もちろんハウジングを回転運動させ、シャフトを固定させるような機構においても使用することができます。では、その種類について詳しく見ていきましょう。
〈回転運動を受けるベアリング〉
ボールベアリング(玉軸受)

ボールベアリングは「内輪」「外輪」「玉(ボール)」「リテーナ(保持器)」の4部品から構成され、外輪はハウジング側に固定を、内輪はシャフト側に固定するための部分です。そしてその外輪と内輪との間に玉と保持器が組み込まれ、さらには潤滑剤が充填されることで低摩擦で指示することができます。
ボールベアリングは一般的には半径方向(ラジアル方向)の荷重を受ける目的で使用されますが、実際の機械では軸方向(スラスト方向)や曲げ方向の荷重、あるいはシャフトとハウジングとの軸心のずれによる荷重なども発生することがあります。
こういったケースにも適用できるようにするため、一般的なボールベアリングの他にも、以下のような種類が存在します。
アンギュラベアリング
ラジアル荷重とスラスト荷重を同時に受けることができるベアリング。はすば歯車などを使った機構などでよく採用される。
軸調心ボールベアリング
軸にかかるモーメント荷重や、シャフトとハウジングの軸心のずれによる荷重を受けるのに特化しているベアリング。
スラストベアリング
スラスト荷重を受けるのに特化したベアリング。一方でラジアル荷重は受けることができない。ターンテーブルの回転軸の支持によく採用される。
実際にベアリングを機械に組み込む際ですが、多くのベアリングにはねじ止めようの穴などは設けられていません。ですから軸やハウジングに段を設けたり、スペーサやカラーを使って、ベアリングの外輪および内輪に押し当ててベアリングの位置を固定します。そしてベアリングの抜け防止のために、軸端部からスナップリングやベアリングナットなどを使って固定するようにします。
ボールベアリングは内輪と外輪と「点」で接触しながら転がるため、摩擦が低く、高速回転をするシャフトに適用しやすいです。しかし荷重を「点」で受けることになるので、許容荷重はさほど高くありません。
ローラベアリング(ころ軸受)

ローラベアリングは「内輪」「外輪」「ころ(ローラ)」「リテーナ(保持器)」の4部品から構成され、先述したボールベアリングとほとんど同じ構成です。
一般的なローラベアリングのローラの形状は円柱の形をしており、主にラジアル方向の荷重を受けるのに使用しますが、さまざまなケースに対応するため、一般的なローラの他にも以下のような種類が存在します。
ニードルベアリング
ローラが細長い形状で、かつローラの個数が多いローラベアリング。外輪の径を小さくすることができるので、省スペースが求められる箇所にも適応できる。
円すいころ軸受
ころの形状が円錐になっているローラベアリング。ラジアル荷重とスラスト荷重を同時に受けることができる。
自動調心ころ軸受
軸にかかるモーメント荷重や、シャフトとハウジングの軸心のずれによる荷重を受けるのに特化しているベアリング。ローラがタルのような形状をしている。
クロスローラベアリング
45°に傾けたローラと、逆方向に45°傾けたローラとを互い違いに組み込んだベアリング。クロスローラベアリング1個で円すいローラベアリング2個と同等以上の荷重を受けることができるとされている。
滑り軸受

滑り軸受とは、シャフトとハウジングとを「滑り摩擦」によって受けるベアリングのことをいいます。一般的に滑り軸受は一部品のみで構成されているので省スペースが求められる箇所にも採用しやすいです。
滑り軸受はシャフトとハウジングとが「面」で接するため、ローラベアリングよりも更に耐荷重が大きいです。しかし一方で発生する摩擦力も大きくなるため、潤滑材を十分に供給することが必須であることはもちろん、あまり高速回転をさせることはできません。
FA業界で設計する機械は高速回転させるようなケースが多いので、滑り軸受はちょっとしたジグなどに限って採用されることがあります。
直線運動を受けるベアリングとは

一般的に「ベアリング」といえば回転運動を受けるタイプのことを指しますが、中には直線運動を受けるベアリングもあります。これらのベアリングは「ブッシュ」「ガイド」などと呼ばれている場合のほうが多いです。
直線運動を受けるベアリングも「シャフトとハウジング」および「レールとブロック」などの組み合わせで使用しますが、シャフト・レールを固定してハウジング・ブロックを動作することもできますし、その逆で使用することも可能です。では、その種類について詳しく見ていきましょう。
〈直線運動を受けるベアリング〉
リニアブッシュ

リニアブッシュとはシャフトが軸方向へ動作をする場合に支持するための部品です。リニアブッシュは円筒形状をしており、その穴の部分にシャフトを組み込んで使用します(これに伴い、直線運動の用途に使用されるシャフトを「リニアシャフト」と呼びます)
リニアブッシュは、耐久性・耐荷重が優れる「転がり軸受」のタイプと、省スペースで低価格な「すべり軸受」のタイプがあります。
すべり軸受に限定をして話をすると、リニアブッシュの中に複数の玉が内蔵されており、リニアシャフトが軸方向移動するのに伴って、玉が軸方向に循環しながらシャフトを支持します。玉が軸方向に循環するので、一般的なリニアブッシュの形状は同じ円筒形状であるボールベアリングと比べると軸方向に長い形状をしているのが特徴です。
リニアブッシュにはいくつかタイプがあります。簡易的に取り付けたいものが欲しい場合はハウジングの溝にスナップリングをはめて固定するタイプを選択すればOKです。一方でねじ止めでしっかりと固定したい場合はフランジ付きのものを、複数のリニアガイド・リニアブッシュとの平行を取りたい場合にはインロー付きのものを選択すればOKです。
リニアブッシュの導入事例

リニアブッシュの導入事例についてですが、個人的な経験からいうと「エアシリンダ」と一緒に使用するケースが多い印象です。
エアシリンダは直動アクチュエータのなかでもコンパクトで、かつ簡易的な動作をするだけなら十分な機能を有しているので、FA業界の機械などに導入しやすい部品です。ですがこのエアシリンダのロッドは、横荷重に非常に弱いという特徴があるのです。
そこで、エアシリンダのロッドと平行になるようにリニアシャフトとリニアブッシュを取り付けることで、エアシリンダのロッドにかかる横荷重を肩代わりして支持し、問題なく動作させることができます。
ただしリニアブッシュでのガイドは、比較的短い動作距離(ストローク)の場合に向いている方式になります。といいますのも、リニアガイドの固定部とリニアブッシュとがストローク時に干渉しないために、リニアシャフトは軸端部で固定するような設計になりがちだからです。
リニアガイド

リニアガイドは主に「ブロック」と「レール」という部品から構成される直線運動用のガイドです。
リニアガイドも回転運動用の軸受のように「玉(ボール)のタイプ」「ころ(ローラ)のタイプ」「滑りのタイプ」が存在しますが、最も一般的なのはボールのタイプです(以下ボールタイプを前提に説明をいたします)。
リニアガイドはブロックの中に複数の玉が基本は4列分入っておりそれらがブロックとレールの間で転がることによってガイドすることができます。
リニアガイドの扱いやすい点は、一つのレールに複数のブロックを取り付けることができる点です。そのためリニアガイドに掛かる負荷が大きかったり、モーメント荷重を低減させたい場合に、一つのレールに複数のブロックを組み込むことで、負荷を分散・低減させることができます。
定尺では最大4,000mmですが、特注であればそれ以上の長さでの製造も可能です。
ボールタイプのリニアガイドも、4列のボールの配置やレールの形状によってさらにいくつかのタイプに分かれます。詳しい解説は割愛しますが、レールに対して「左右方向の荷重」および「ブロックを引き抜く方向の荷重(ラジアル荷重)」「その逆方向(逆ラジアル荷重)」という4方向の荷重に対してどの程度許容されるかが変わってきます。
リニアガイドの導入事例

リニアガイドの導入事例ですが、例えばボールねじを使った直動機構のガイドとして使われます。
ボールねじ単体では負荷を十分に受けきれないことが多いので、そういった荷重をリニアガイドで肩代わりさせるようにします。特にリニアガイドは高精度にガイドをする用途にも最適ですので、高精度な位置決め動作が必要な機構ほどよく採用されている印象です。
ベアリングのオプションを知る
ここではベアリングを選定する際によくでてくるオプションについて解説をしていきます。
〈ベアリングのオプション〉
リテーナ(保持器)

リテーナはベアリングに内蔵されているボールやローラの間に組み込まれており、これらの転がり位置を保持する部品のことをいいます。回転運動を受ける転がりのベアリングにはほとんどすべてリテーナが入っておりますが、一方で直線運動を受ける転がりのベアリングは、リテーナがあるタイプとないタイプがあります。
ベアリングの保守作業は手間がかかるケースが多いので、特に理由がなければリテーナ入りを選択するのがおすすめです。
シール
シールとは気体や流体を密閉するための部品の総称のことをいいますが、ベアリングにおいてはベアリングの端部に取付けられ、潤滑剤を密閉するための部品のことをいいます。特にゴム材の場合を「シール」と呼び、金属板のタイプは「シールド」と呼ばれることがあります。
シールには大きく分けると2種類が存在します。
オイルシール
一つめはグリースを保持するためのシールで、別名「オイルシール」と呼ばれているものです。
ベアリングはグリースなどの潤滑剤を充填させることがほぼ必須で、潤滑剤がないとベアリング内部が摩擦熱により超高温になり、ベアリングが焼き付き、そして損傷する事態になってしまいます。ベアリングの潤滑剤としてよく採用されるのがグリースですが、充填したグリースが外部に漏洩しないようにするためにシールを取付けます。
ダストシール
もう一つのシールが、ベアリング内部に粉塵が入り込むのを防ぐシールで、別名「ダストシール」といいます。
例えば粉塵などが多い環境でベアリングを使うと粉塵がボールやローラの隙間に入り込むことで、ベアリングの早期故障を引き起こしてしまうのです。そのような場合においてダストシールは、シール内にちょっとした空間がありそこにグリースを保持できるようになっています。これにより外部から粉塵が侵入しても、ダストシール内に保持されたグリースが粉塵をキャッチしてくれるので、粉塵がベアリング内部へ侵入していくのを防ぐことができます。
潤滑方法

ベアリングの潤滑方法には、以下のようにいくつかの設計思想があります。
なお「自己潤滑性能」を持つベアリングを採用する場合には潤滑剤は不要です。
故障するまで給脂しないケース
ベアリング本体だけではなく組み込む機械にも給脂口(グリースニップル)がない。グリース封入タイプのベアリングを採用することが多い。
定期的に給脂するケース
ベアリングのハウジングやリニアガイドのブロックにグリースニップルがついており、週に1回程度の頻度で給脂メンテナンス作業を行う想定のタイプ。
常時給脂するケース
機械が動いている間、常に給脂する。ダストシールだけでは粉塵の侵入を防ぎきれない場合に、常時ベアリング内部から外部へグリースを流れ出させることによって、確実に粉塵の侵入を防ぐ。
おわりに
このように、ベアリングは機構設計において不可欠な要素であり、用途に応じた適切な種類やオプションを選定することが重要です。カタログに掲載されている仕様だけで判断するのではなく、実際の使用環境や負荷条件を考慮しながら選定することで、より高い信頼性を確保することができます。
本コラムが、ベアリング選定の一助となれば幸いです。
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