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平面研削盤の自動化が実現 – センサによる回転砥石の位置決め

平面研削盤の自動化が実現 – センサによる回転砥石の位置決め

更新日:
2022/09/04 (公開日: 2021/10/04 ) 著者: 甲斐 智
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工作機械研削自動化除去加工
     

コンピュータ制御によってそのほとんどが自動化されているNC工作機械
しかし実際の現場では熟練オペレーターによる属人的な作業も多く、自動化の課題となっています。

なかでも平面研削盤は、砥石のドレッシング作業やワークの段取りなど、オペレーターの熟練を必要とする作業が多い工作機械
そのため作業の「標準化」については、他の加工工程とくらべても大きな遅れをとっています。

この記事では工場の自動化に役立つユニークなセンサを開発する株式会社メトロール(東京都立川市)に、研削盤の自動化とその課題を解決する工作機械用センサについてお聞きしました。

平面研削盤の自動化について|人手不足と働き方改革もあいまって、研削工程の自動化は待ったなし!です
人手不足と働き方改革もあいまって、研削工程の自動化は待ったなし!です
研削盤の自動化でお困りの生産技術エンジニアの方へ
研削盤の自動化でお困りの生産技術エンジニアの方へ|CNC平面研削盤の砥石位置決めを完全自動化

平面研削盤の自動化のお悩み

平面研削盤の自動化について|平面研削盤の自動化のお悩み

精密ガイド部品の仕上げなど、高い加工精度がもとめられる平面研削盤
研削砥石を使い金属の表面をミクロンレベルで仕上げますが、その砥石の「原点出し」は熟練作業者の手によって行われています。

平面研削盤の自動化について|砥石の原点出しは「砥石の当て込み」ともよばれ、オペレーターがハンドルを微調整しながら、サンプルワークや実際のワークに砥石を接触させるというアナログ作業
一般的な平面研削作業(株式会社メトロールにて)

砥石の原点出しは「砥石の当て込み」とよばれ、オペレーターがハンドルを微調整しながら、サンプルワークや実際のワークに砥石を接触させるというアナログ作業。
経験が浅いと加工精度にもばらつきがでるなど、作業者の経験やカンに左右されるシビアな作業でした。

そのため標準化・自動化がむずかしく、多くの研削盤ユーザーが課題を抱えていたのです。

〈平面研削盤ユーザーの現場ニーズ〉

  • 熟練作業者による砥石原点出しを標準化し、研削工程を自動化したい…
  • 砥石の当て込みで砥石の回転を止めるため、生産性が低下する…
  • 砥石の当て込み時のエアカットを削減し、加工時間を短縮したい…
  • ドレッシング(目立て)量を減らし、高価な砥石を長持ちさせたい…
エアカットとは?
平面研削盤の自動化について|エアカットとは?
エアカットは、砥石がワークに接触するまでの「動き」です。
加工に欠かせない予備動作のひとつですが、一般的にはロスタイムとされています。
エアカットの距離や時間をいかに短縮するかが、加工効率を大きく左右します。

エアマイクロセンサによる砥石径測定

平面研削盤の自動化について|エアマイクロセンサによる砥石径測定

そこで製品化したのが、砥石径測定用の「エアマイクロセンサ」です。

メトロールのエアマイクロセンサは、もともとマシニングセンタCNC旋盤の「治具」と「ワーク」の密着確認で実績のある、エア式のギャップセンサ。
同社では5年ほど前から、社内研削盤のダイヤモンド砥石の原点出しに限定して使っていましたが、工作機械の自動化に困っている研削盤ユーザーから「砥石の位置決め」に関する相談が多くよせられていました。

平面研削盤の自動化について|マシニングセンタで使われるエアマイクロセンサ
マシニングセンタの治具とワークの密着確認で使われる「エアマイクロセンサ」

そこで、平面研削盤の大手メーカー「岡本工作機械製作所」との共同研究プロジェクトをスタート。
砥粒の大きさや気孔のばらつきなど加工条件によるデータ蓄積・分析をすすめ、砥石径測定用センサとして製品化が実現したのです。

岡本工作機械製作所との共同開発

平面研削盤の自動化について|岡本工作機械製作所との共同開発

砥石径測定用「エアマイクロセンサ」の研究開発は、2020年 NEDO『戦略的省エネルギー技術革新プログラム』にも採択。
NEDOの開発助成を受けながら、メトロールが中心となり平面研削盤のトップメーカー岡本工作機械製作所と共同研究をすすめています。

岡本工作機械製作所では、2016年に全自動研削システムを発表。
2018年に同システムを「SELF(セルフ)」と名づけ、機能を拡充していましたが、その取り組みのなかで最後の難題が、回転砥石の計測だったのです。

研究プログラムについて
テーマ NC平面研削盤における研削加工の自動化技術の開発
概要 メトロールのエアマイクロセンサを、岡本工作機械製作所のNC平面研削盤に搭載。
従来作業者が手作業・目視で行っていた、加工開始点(回転砥石と工作物)の位置合わせを自動化する技術の確立を目指す。
NEDOとは?
新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDOは、持続可能な社会の実現に必要な技術開発の推進を通じて、イノベーションを創出する、国立研究開発法人です。
引用元:国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構

回転砥石の位置決めで、平面研削盤を完全自動化

砥石径測定用「エアマイクロセンサ」では、これまで難題であった回転中の砥石の位置決めを1ミクロンの繰返し精度で実現。

同社の小型タッチプローブによる加工前後のワーク測定と組み合わせることで、研削工程の完全自動化に成功しました。

〈エアマイクロセンサ導入の効果〉

砥石原点出しの標準化で、研削工程が自動化できる
作業者の熟練による加工精度のばらつきを防止
エアカット時間を大幅削減
ドレッシング(目立て/目直し)量を大幅削減

また計測データを活用することで、IoTによる予防保全やAIによる加工解析にも役立てることができます。

センサを使った平面研削盤の測定の流れ

平面研削盤の自動化について|センサを使った平面研削盤の測定の流れ
測定の流れ
1.砥石径測定 エアマイクロセンサを使い、回転砥石の加工原点を検出
2.加工原点出し 小型タッチプローブを使い、加工前のワークを測定
3.研削加工 研削加工(測定データをもとに切り込み量を計算)
4.ワーク測定 加工後のワークを測定(必要に応じて、追い込み加工を行う)

エアマイクロセンサ(砥石径測定)

平面研削盤の自動化について|エアマイクロセンサ(砥石径測定)

回転中の砥石径を非接触で高精度測定
回転を止めずに砥石の原点出しが可能

タッチプローブ(ワーク測定)

平面研削盤の自動化について|タッチプローブ(ワーク測定)

加工ワークを高精度測定
砥石径測定との組み合せで、研削加工の完全自動化が実現

平面研削盤の自動化について|人手不足と働き方改革もあいまって、研削工程の自動化は待ったなし!です

編集部:
従来式の砥石検出は、加工中の振動を拾うAEセンサ(超音波)が一般的でした。
しかし砥石やワークなどの条件がかわると精度が安定せず、計測時間が長いなどの問題も…

本エアマイクロセンサは、研削盤の自動化はもちろん研削加工の生産性向上にもおすすめです。

平面研削盤の自動化まとめ

この記事では工場の自動化に役立つユニークなセンサを開発する株式会社メトロールに、研削盤の自動化とその課題についてお聞きしました。

作業の標準化や産業用ロボットによる自動化など、他の加工工程とくらべ遅れをとっている平面研削盤ですが、砥石径計測用センサの登場によって大きく前進しています。

研削工程の自動化でお困りの方は、ぜひ一度メトロールまでお気軽にお問い合わせください。

 

研削盤の自動化でお困りの生産技術エンジニアの方へ
研削盤の自動化でお困りの生産技術エンジニアの方へ|CNC平面研削盤の砥石位置決めを完全自動化

研削盤の自動化でお困りの生産技術エンジニアの方へ。
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すでに複数の研削盤メーカーでも採用がはじまっている研削盤の自動化について、最新の情報をご提供します。

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株式会社メトロールについて

会社名 株式会社メトロール
所在地 〒190-0011 東京都立川市高松町1-100
設立 1976年6月10日
事業内容 工場の自動化に貢献する「高精度工業用センサ」の、開発・製造・販売
公式サイト https://www.metrol.co.jp/ 

〈平面研削盤の自動化の関連キーワード〉

工作機械 研削 自動化 除去加工

この記事の編集者・プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」参加企業

2020年に「はじめの工作機械」を立ち上げ(はじめの工作機械とは

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