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FAQ| キャリブレーションを怠ったときの影響は?

更新日:
2026/01/10 (公開日: 2026/01/10 ) 著者: 甲斐 智
     

測定機のキャリブレーション(校正)は、測定値の信頼性を確保するために欠かせない工程です。しかし、忙しい現場では後回しにされがちで、「気づいたら測定器の基準がズレていた」というケースも少なくありません。校正を怠ると、品質判断そのものが誤ってしまい、工程不良やクレームの原因となります。

コメント
校正は“問題が起きてから必要性に気づく”作業の代表格です。測定値のズレは見えないだけに、気づいたときには製品が大量に出荷済み…という最悪の事態を避けるため、定期的な点検が不可欠です。
  • Q

    そもそも「校正」とは何のために行うのですか?

    A

    「測定器が示す値」と「真の値(標準器の値)」の差を確認し、測定の「確からしさ」を担保するためです。
    どれほど高価な測定機でも、使用環境や経年変化によって精度は必ず劣化します。校正によって現在の誤差の状態を把握し、必要であれば「調整」を行うことで、世界共通の基準に基づいた正しい計測が可能になります。これを「トレーサビリティ」の確保と呼びます。

  • Q

    校正を怠った場合、製造コストにはどのような影響が出ますか?

    A

    「見えない損失(ロス)」が肥大化し、最終的に莫大なコスト増を招きます。

    リスク要因 コストへの影響
    過剰な不合格判定 測定器が実際より大きく(または小さく)表示されることで、良品を不良品として廃棄・手直しするムダが発生します。
    市場クレーム・回収 不良品を良品と誤認して出荷した場合、製品回収や損害賠償、企業信用の失墜など、致命的な損害に繋がります。
    加工条件の迷走 測定誤差を「加工のバラツキ」と勘違いして機械を調整してしまい、工程がいつまでも安定しません。
  • Q

    外部業者による校正だけでなく、現場での「日常点検」も必要ですか?

    A

    はい、日常的な「中間点検」こそが品質を守る鍵となります。
    年1回の定期校正だけでは、半年前の衝撃でズレたのか、昨日の摩耗でズレたのかが分かりません。始業前にブロックゲージなどの基準片を用いて「ゼロ点」や「スパン(最大値付近)」を確認することで、異常を早期発見し、不適合品が作られる期間を最小限に抑えられます。

  • Q

    校正記録(校正証明書)はどのように管理・活用すればよいですか?

    A

    単なる「保管」ではなく、「経時変化の分析」に活用してください。

    管理・評価項目 内容
    台帳管理 有効期限を一覧化し、校正漏れを物理的に防ぐ仕組み(期限シールの貼付など)を作ります。
    トレンド管理 過去3〜5年の校正結果をグラフ化し、誤差が一定方向に増えている場合は、寿命を予測して計画的に修理・更新を行います。
    不確かさの把握 校正証明書に記載された「不確かさ」を確認し、自社の測定公差に対してその測定器の能力が十分であるかを再評価します。

キャリブレーションは品質管理の「健康診断」

キャリブレーションを怠ると、測定値の信頼性が失われ、生産や品質判断の前提がすべて崩れてしまいます。精度管理は「異常が出てから」行う修理ではなく、日常的な予防保全そのものです。定期校正の計画化、日常点検の習慣化、および記録のトレンド管理を徹底することで、測定品質の安定と、工場の信頼性を強固なものにしていきましょう。

FAQについて 本FAQはトラブル解決を保証するものではありません。あくまで参考情報としてご活用ください。
実際の原因と対策は、加工条件・設備・環境によって異なります。


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このFAQの監修者

甲斐 智
甲斐 智(Satoshi Kai)

1979年 神戸生まれ、多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーに入社。
2020年に株式会社モノトを設立。長年に渡り工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる。
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