せん断加工の要約
せん断加工は、金属板を「パンチ」と「ダイ」で切断するプレス加工の一種で、板材の切断・打ち抜き・穴あけなどに用いられます。 最初のブランク(材料取り)工程として多くのプレス製品の基礎を支える重要な加工法です。 最近では、ファインブランキングなどの精密せん断技術によって、切削に匹敵する高精度加工も可能になっています。
せん断加工の特徴
- パンチとダイの間の圧力で金属板を切断。
- 塑性変形を利用した加工で、スピードと量産性に優れる。
- 板厚・材質・クリアランスの条件により切り口品質が変化。
- 断面には「だれ」「せん断面」「破断面」「バリ」が発生。
主なせん断加工の種類
ブランク加工
板材を所定形状に切り出す前工程。切り出された材料を「ブランク」と呼びます。 代表的な加工は以下のとおりです。
- 切断加工(シャーリング): コイル材や定尺材を切断。
- 分割加工: 板材を余肉つきで分け、非対称ブランクを成形。
- 打ち抜き加工: 板から形状を打ち抜き、落とした側を製品とする。
- 切り欠き(ノッチング)・切り込み(スリット): 板の縁や内部に部分切りを加える。
穴あけ・複合加工
- 穴あけ(ピアス加工): 板に穴をあけ、残り側が製品となる。
- 追い抜き/ニブリング: 穴を連続的にずらして空け、複雑な形状を形成。
- コンパウンド加工: 打ち抜き+穴あけを同時に行う複合せん断。
仕上げ・精密せん断加工
- トリミング加工: 成形後の余肉や縁を切り落とす。
- シェービング: 切断面を薄く削り取り、断面を滑らかに仕上げる。
- 仕上げ抜き: 小クリアランスで打ち抜き、バリを抑える。
- ファインブランキング: 板を三方向から圧縮しながら打ち抜く高精度せん断法。
せん断断面の構造と欠陥
パンチが金属を押し切る過程では、断面に特徴的な層が生じます。
- だれ: パンチの押圧で材料表面がわずかに盛り上がる。
- せん断面: 光沢のある平滑な部分。結晶が流動して形成される。
- 破断面: 材料が引きちぎられてできる粗い面。
- バリ: 最後に生じる突起。摩耗した金型や不適切なクリアランスが原因。
クリアランスが大きすぎるとバリ・だれが増え、小さすぎると破断や金型摩耗を招きます。 適切な隙間調整が品質維持のカギです。
使用されるプレス機械
- プレス機械: 曲げ・打ち抜き・成形など多用途。
- シャーリングマシン: 切断専用機。板材を直線にカット。
- タレットパンチプレス: 穴あけや打ち抜きの自動化装置。
- ファインブランキングプレス: 精密せん断専用機。ミクロン精度の成形に対応。
スクラップ処理とトラブル
せん断後のスクラップはシュートやコンベアで回収し、「スクラップカッター」で細断処理されます。 金型内部でのスクラップ詰まり(かす詰まり)や、金型上への乗り上げ(かす上がり)は、 ライン停止や製品不良の原因となるため、除去機構とエアブローが重要です。
まとめ
せん断加工は、金属板を切断するもっとも基本的なプレス加工であり、 ブランク取りから最終成形まで幅広く利用されています。 近年のファインブランキング技術により、高精度・高品質な断面仕上げが可能となり、 切削・研削工程の代替としても注目されています。 せん断現象の理解は、プレス金型設計や品質管理の基礎知識として不可欠です。
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