引抜き加工の要約
引抜き加工(ひきぬきかこう)は、金属をダイ(金型)の穴に通し、先端から引き抜きながら細く伸ばす塑性加工法です。 「押出し加工」と並ぶ代表的な成形法で、ワイヤ・バー材・管材などの高精度素材を大量に生産できます。 電線・ピアノ線・注射針・半導体配線ワイヤなど、精密産業に欠かせない加工法です。
引抜き加工の特徴
金属を室温または加熱状態でダイに通し、引張りながら断面を縮小します。 常温で行う場合は「冷間引抜き」、高温で行う場合は「熱間引抜き」と呼ばれます。 押出し材を原料に、数回の引抜きを繰り返して所定の線径まで仕上げます。
引抜き加工のメリットとデメリット
メリット
- 金属組織が緻密化し、引張り強度が向上。
- ダイ通過により寸法精度が高い(公差±0.02mm程度も可)。
- 表面に光沢が生まれ、美しい仕上がりとなる。
デメリット
- 断面形状が限られる(主に円形・異形断面)。
- 繰り返し加工で加工硬化が進み、断線リスクがある。
引抜き加工に使う「ダイ」と「潤滑剤」
引抜きに使う金型をダイと呼び、工具鋼・超硬・ダイヤモンドなどの硬質材料で作られます。 ダイ穴の形がそのまま製品形状になるため、穴径の精度が品質を左右します。 また摩擦を減らすために、乾式/湿式潤滑剤が不可欠で、ダイ寿命と加工速度を大幅に改善します。
主な引抜き加工の種類
- 単純引抜き加工: 最も基本的な方法。バー材を数回に分けて細くする。
- 管の引抜き加工: パイプを引抜いて細径・薄肉化。以下の4方式がある:
- 空引き:外径のみを小さく。
- 心金引き:内面にも圧力をかけ、厚みを制御。
- 浮きプラグ引き:非固定心金で極細管を成形。
- マンドレル引き:固定心金を用い、肉薄管に対応。
- ローラーダイス引抜き: 溝付きローラーで摩擦を低減しながら引抜く。
- タークスヘッド引抜き: 四方向のローラーで材料を引抜く。角棒など異形材に対応。
- ダイレス伸線加工: ダイを使わず加熱・冷却で引抜く。難加工材に有効。
引抜き加工に使う機械
伸線機(しんせんき)
線材を連続的に引抜き、コイル状に巻き取る装置。 種類は以下の通りです:
- 単頭伸線機: 1つのダイとドラムで1パス加工。
- 連続伸線機: 複数のダイを並べ、連続的に線材を引抜く。
抽伸機(ちゅうしんき)
太いバー材や管材を直線状に引抜く装置。 以下の2タイプがあります:
- ドローベンチ: 単パスでバー材を成形。長さは機械の可動範囲で制限。
- 連続抽伸機: 複数のダイを用い、自動供給で高生産を実現。
まとめ
引抜き加工は、金属を高精度・高強度に仕上げるための基本的な塑性加工法です。 伸線機・抽伸機を使い分けることで、線材・バー材・管材と幅広い用途に対応できます。 寸法精度と表面品質に優れた引抜き材は、NC旋盤や研削加工のワーク素材としても重要な役割を果たしています。
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