鋳鉄の要約
鋳鉄(ちゅうてつ/いてつ)は、炭素を2.14~6.67%含む鉄系材料で、 マンホールや水道管、自動車部品、機械ベースなど幅広い用途に使われています。 炭素が多いことで硬く耐摩耗性に優れる一方、じん性が低くもろい点が特徴です。
鋳鉄と炭素鋼の違い
- 炭素量:鋳鉄は2.14%以上、炭素鋼は2.14%未満。
- 製造法:鋳鉄は溶解して鋳造、炭素鋼は鍛造や圧延で成形。
- 特性:鋳鉄は硬く摩耗に強いが脆く、炭素鋼は粘りがあり薄肉成形が可能。
鋳鉄の種類と用途
通常の鋳鉄
- ねずみ鋳鉄:黒鉛を含み、破断面が灰色。もっとも一般的で、耐摩耗性と耐熱性に優れる。 主な用途:マンホール、ブレーキディスク、工作機械ベースなど。
- 白鋳鉄:急冷によってセメンタイトが生成され、破断面が白色。非常に硬く耐摩耗性・耐食性に優れる。 主な用途:耐摩耗ライナー、ポンプ部品など。
- まだら鋳鉄:ねずみ鋳鉄と白鋳鉄の中間で、特性が不安定なため実用は少ない。
FC材(例:FC200)は、ねずみ鋳鉄を引張強さで分類した規格で、 FC200は引張強さ200MPa以上を意味します。
強化した鋳鉄
- 強靭鋳鉄:ねずみ鋳鉄よりも強度の高い高級鋳鉄。FC300以上が該当。
- ダクタイル鋳鉄:黒鉛を球状化した鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)。じん性が高く、鋼に近い特性を持つ。 主な用途:自動車部品、水道管、ギヤケースなど。
- 可鍛鋳鉄:白鋳鉄を熱処理して延性を高めた鋳鉄。白心・黒心・パーライト型に分類される。 主な用途:自動車部品、管継手など。
- 合金鋳鉄:Ni・Cr・Moなどを添加して、耐熱・耐食・耐摩耗性を向上させた鋳鉄。 主な用途:カムシャフト、ブレーキドラムなど。
鋳鉄の切削加工ポイント
- 切削しやすい:黒鉛が潤滑剤として作用し、切粉が短く分断しやすい。ねずみ鋳鉄は特に加工性が良好。
- 工具欠けに注意:硬度が高いため、すくい角を小さくした刃先や耐摩耗性工具を使用する。
- ドライ加工が一般的:黒鉛の潤滑作用で熱が発生しにくく、通常は切削油を使わない。 ただし粉塵対策として湿式加工を行う場合もあり、その際は切粉の詰まりに注意が必要。
まとめ
鋳鉄は、炭素量の多い高硬度・高耐摩耗性材料で、ねずみ鋳鉄からダクタイル鋳鉄まで多彩な種類があります。 用途に応じて強度・じん性・耐食性を調整できる一方、脆さや工具欠けへの対策が必要です。 鋳鉄の種類ごとの特性を理解し、適切な工具選定と切削条件設定を行うことが、加工トラブル防止のカギです。
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