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切削加工からプレス加工へ – 難削材ステンレス加工の工法転換

切削加工からプレス加工へ – 難削材ステンレス加工の工法転換

更新日:
2025/02/07 (公開日: 2021/03/11 ) 著者: 甲斐 智
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プレス加工塑性加工除去加工
     

近年、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、優れた耐食性・保温性に加え、高い”抗菌性”をもった「ステンレス」があらためて注目されています。

しかしステンレスは加工屋泣かせの「難削材」としても知られており、金属加工の現場では、さまざまな切削ツールの開発や プレス加工への工法転換 にも関心が集まっています。

この記事では「絞り加工.com」を運営する株式会社加藤製作所(岐阜県中津川市)様に、ステンレス加工の「切削」から「プレス」への工法転換の事例についてお聞きしました。

ステンレス加工の工法転換について|プレス化することで、工数削減やコストダウンなどさまざまなメリットが生まれます!
プレス化することで、工数削減やコストダウンなどさまざまなメリットが生まれます!

ステンレス(難削材)の特長

ステンレス加工の工法転換について|ステンレス(難削材)の特長

ステンレスは炭素鋼をベースにクロム・ニッケルなどを混ぜた合金で、耐食性・保温性が高くサビにくいのが特徴です。
機械部品をはじめ建材から家電・日用品まで、さまざまな用途で使われています。

ステンレス加工の工法転換について|優れた防錆・耐食性から、半導体や食品関連のクルーンルームでも使用
ステンレスはその優れた防錆・耐食性から、半導体や食品関連のクリーンルームでも使用されています

またステンレスは鉄にくらべ熱伝導率が低いため切削時の熱が逃げにくく、ツールの破損を起こしやすい「難削材」としても知られています。
加工硬化を起こしやすいため切削速度を上げることができず、被削性の低さからコストアップの要因となっています。

ステンレスの工法転換「切削」から「プレス」へ

ステンレス加工の工法転換について|ステンレスの工法転換「切削」から「プレス」へ

ステンレスの加工には切削加工以外にも、鋳造などさまざまな方法があります。
加工方法は製品の形状や精度から選定されますが、多くの場合「プレス加工」に置き換えることで、大幅なコストダウンを図ることができます。

また切削加工と同等の寸法精度をプレス加工で実現することで、後工程の短縮・工数削減につなげることもできます。

一般的にステンレスの「プレス加工への工法転換」はハードルが高く、板厚の変化を抑えながら、しわ・ひずみ・割れのないプレス加工を実現するには、高い技術とノウハウが求められます。

ステンレス加工のプレス化に求められる要素技術

  • 精密切断・穴抜き技術
  • 高精度な絞り技術
  • 板鍛造技術
  • 高精度な後処理技術(メッキ・洗浄・バレルなど)

ステンレスのプレス加工(深絞り加工)について

加藤製作所では「難削材」といわれる合金のプレス加工を特意技術のひとつと位置づけ、製品開発に取り組んでいます。

プレス加工のむずかしい難削材ですが、加藤製作所では「丸形の深絞り加工」「高難度のテーパー加工」「超厚物の深絞り加工」など自由自在に深絞りをすることができます。

ステンレス加工の工法転換について|対向液圧プレス
加藤製作所の保有する対向液圧プレス
(写真左 1号機:加圧出力 インナー200トン / アウター160トン)
(写真右 2号機:加圧出力 300トン/ しわ抑え圧力 120トン)

ここでは、加藤製作所が30年に渡り培った「対向液圧成形法」による深絞り加工の最新技術についてご紹介いたします。

従来の一般的な絞り加工

ステンレス加工の工法転換について|一般的な絞り加工

一般的な絞り加工では、工程数が多く加工硬化が発生。
磁化が進むために金属微粉を吸着しやすくなり、多くの場合焼き付きが発生します。
そのため複雑な形状の場合は製品を分割するなどの対策が取られ、大幅なコストアップにつながります。

ステンレス加工の工法転換について|一般的な絞り加工
出典:はじめの工作機械|絞り加工とは

また絞り加工の特徴としてフランジ部では板厚が増加し、パンチ底部付近では板厚が減少。
そのため表面にしわ・割れが発生しやすくなる問題を抱えていました。

加藤製作所の「対向液圧成形法」による深絞り加工

加藤製作所の「対向液圧成形法」による深絞り加工では、摩擦保持効果により板厚の増加減少を極力抑えた均一な絞り加工を実現。
焼き付きを抑えるとともに、しわ・割れの無い高精度成形が可能です。

ステンレス加工の工法転換について|対向液圧成形法による深絞り加工
出典:絞り加工.com|対向液圧成形法

また限界絞り比を大幅に向上できるため複雑な形状を一度に成形することができ、工程数を大幅に削減できます。
(金型がパンチ側のみなので、金型費用のコストダウンも図れます)

対向液圧成形とは
液圧成形法は、パンチもしくはダイスの代わりに液圧を利用する成形法です。
加藤製作所では一般的な絞り成形法に加え、ダイス側を液圧によって代用した「対向液圧成形法」を採用しています。
→絞り加工の基礎知識について解説(絞り加工.com)

「対向液圧成形法」によるステンレスの深絞り事例

加藤製作所の「対向液圧成形法」による、ステンレスの深絞り事例をご紹介いたします。
(ステンレスの深絞り事例については、こちらでも多数ご紹介しています)

家電製品用モーターカバー(ステンレス 板厚2.8㎜)

ステンレス加工の工法転換について|家電製品用モーターカバー(ステンレス 板厚2.8㎜)

対向液圧成形法によって、板厚増加減少の少ない均一な絞りを実現。
板厚の厚いステンレスでも一工程で加工することができます。

厳しい要求精度を後工程の切削加工で満たすことで、コストダウンと高品質精度を両立しています。
(真円度0.012/同芯度0.15/表面粗さRa1.6a)

建築用排気パイプダクト(ステンレス 板厚0.8㎜)

ステンレス加工の工法転換について|建築用排気パイプダクト(ステンレス 板厚0.8㎜)

写真左:異形深絞り加工
写真右:絞り割れの事例

異形深絞り加工技術によって、パイプの「丸形状」と排気口の「角形状」を一体成形。
「丸形絞り」と「角形絞り」を一工程で同時成形するため、材料の張り出しやしわ・割れが発生しやすく難度の高い技術が要求されます。

ステンレスの工法転換・プレス化まとめ

この記事では「絞り加工.com」を運営する株式会社加藤製作所様に、ステンレス加工の「切削」から「プレス」へのへの工法転換の事例についてお聞きしました。

近年さまざまな合金が開発されるなか、プレス加工がむずかしいとされる「インコネル」「ハステロイ」などの耐熱合金や、加工硬化が起きやすくワレやすい「チタン」のプレス加工も注目されています。

加工のむずかしい材質の深絞りでお困りの方は、ぜひ「絞り加工.com」までお気軽にお問い合わせください。

 

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株式会社加藤製作所について

会社名 株式会社加藤製作所
本社所在地 〒508-0011 岐阜県中津川市駒場447番地の5
設立 昭和29年5月8日(創業明治21年)
事業内容 家庭電気器具部品、自動車部品、騒音防止機器(防音壁、消音機)、航空機部品の製造等
公式サイト http://www.katog.co.jp/
運営サイト 深絞り.com
特注筐体製作.com

難削材プレス加工.com
プレス部品設計コストダウン.com

プレス加工 塑性加工 除去加工

この記事の監修者

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